岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

バスガイドさんの実力

2008-03-29 09:46:58 | 日本の仲間
本州のバスガイドさんしか知らなかった頃、
沖縄の観光バスに乗って、ガイドさんの志(こころざし)の違いに
驚いたことがある。
沖縄のガイドさんは、無知な本土人に対して、沖縄の過去と
現代史を教育してくれた。
米軍基地や演習場の傍を通れば、中で何が起こっているのか
わかりやすく教えてくれた。
「あの山は円錐の美しい形をしていたが、砲撃演習で、今の平べったい山に
なったしまった。今も沖縄の土地は傷つけられているのですよ」

これは、沖縄人による本土人への啓蒙(啓発ではない)だと思った。
大切なことに目を瞑っている本土人に。

沖縄のガイドさんはすごいなーと思っていたら、北海道のガイドさんも
いろいろな意味で「すごいー」と思ってしまった。
歴史に強いのはもちろん、食事や素材、料理法にも詳しい。
そして、「北の国から」や「氷点」などは、一人語りをしてくれる。
一日で500kmを走ることも珍しくない北海道では、2時間弱で、
トイレ休憩を取りながら、ガイドさんの話を、起きては聞き、
寝ても聞くことになる。
そして、1時間半というのが、ひとつの物語として完結していく。
まさに、エピソード1→エピソード2→エピソード3→
エピソード4と続いて、陽も落ち暗闇の中、宿に着くのだ。

例えば、富良野に行く道では、「北の国から」の1話を、一人語りを
してくれる。
麓郷での黒板家の話に引き込まれる。やはり涙のシーンが入る。
車内がシーンとしてしまう。
窓の外が雪の富良野だったりするから、臨場感がある。
三浦綾子の「氷点」などは「続氷点」まで教えてくれた。
そうかそんな話だったのかと、感心する。

かってはガイドさんといえば、歌う人というイメージがあったが、
今回のガイドさんは、「歌わないなー」と思っていると、
突然、美声を披露されてあっと驚く。
「天晴れ!」である。

写真は、明治大正図誌「北海道」筑摩書房刊。
古本屋で購入しましたが、とてもよい本です。

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