岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

書籍:『老後も進化する脳』 リータ・L・モンタルチーニ著

2009-05-05 09:52:38 | 
朝日新聞出版 齋藤ゆかり訳 毎日新聞書評欄 中村桂子氏評を読んで

タイトルだけで、読んでみなくてはと思うのは、仕事柄だけではないでしょう。
著者は、1909年イタリア生まれ。ということは「百歳万歳」です。
1986年、「神経成長因子および上皮細胞成長因子の発見」で、
ノーベル生理学・医学賞を受賞している。

この方、イタリア上院終身議員の役もされているそうな。
この終身議員にどのような権限があるのかわからないが、ひとつの見識ではないだろうか。

「精神活動が、老年期、そして人生の最後の時期において、まったく新しい能力の
発揮されうる分野」(訳著)だという。
精神活動とは、「英知、先見の明、判断力」。そして「創造力」。

98歳でなくなった、ラッセル卿の業績を引用して、
「興味の対象が外へ広がるほど、人生の残りがわずかかもしれないという思いが
気にならなくなる」と書かれている。
この言葉は重要である。

脳の可塑性は、「自らの限界、自らの有限性を認識しつつ無限について考える力」を
与えてくれる、という。

私たちは、このような大きな存在として年配の方々に接しているだろうか。
自らの器の小ささで、見落としていることが多いのでないか。
精神活動は、一部の人々の占有物ではない。
この本の登場人物は、例外的な存在ではないのだと思う。

※旧日本銀行京都支店金庫室内。

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