岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【音楽幻燈隊】演じた中身は?  石井十次その十七 

2005-02-26 15:50:55 | 石井十次
このあたりは、私の個人的嗜好のように思うが、巡業の準備
の仕方、巡業の演目、ブラスの曲名、幻燈の内容なども
知りたい。
そのような細かなことから、明治時代や十次という人物の
輪郭を浮かび上がらせたいと思っている。 

資料※によると、巡業の前に音楽隊が町や村を歩いて、
開催を触れまわる。
職員は、担当別に準備する。会場準備、総督(ディレクターか)、
木戸札売り、接待係など。今と同じ。

開会:8時30分 閉会:11時頃。2時間半くらいの長さ。
時間が遅いのは、この資料の日程が6月の巡業だからかも
しれない。暗くならないと、幻燈やスポットライトの効果が
でなかったのだろう。

演目:和曲11曲、洋曲9曲、軍歌9曲と30曲近い。多い。
演奏時間が1時間30分程度とすると1曲3分程度だった。
現在から考えれば1曲あたりの時間が短いと思われるかも
しれないが、当時のレコードは、短時間しか録音できず、
レコードや譜面を演奏の参考にする場合は、短い曲になったと
思われる。(ただし、十次が蓄音機を持っていたかどうかは
確認していない)

和曲、洋曲、軍歌という組合せも興味深い。なぜ軍歌と思うが、
ブラスとの相性のよさ。もうひとつは聴衆が軍歌が好きだった
ことだろう。曲名が何か。これは知りたい。調べよう。
では、幻燈説明はどのように行われたのか、まことに興味深い
ので引用させていただく。

「石井先生の至芸とも称すべき独特に幻燈説明」。
わくわくするではないか。

「十次は写真の説明から幻燈の調整まで自分で設計し、
監督した。説明文句も自分で考え、練りに練った。
開会前には別室に退いて考え、祈った。
幻燈の時間は必ず45分程度に決めていた」

この文章を読んで、十次という人物がどのような人物なのか、
すこし想像できそうではないか。
私は、政治家、舞台人、そして、実業家としても一流になり
うる人だったと考える。しかし、十次には、孤児救済を
天職とし、それ以外には無頓着だったのではないだろうか。

大原孫三郎は、「十次の事業は、事業の体をなしていない」と
いうことばは、十次の事業家としての素質の欠如を意味しては
いない。十次が、事業化を無視していたのだと思う。

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※「石井十次」柿原政一郎(日向文庫刊行会)が
「岡山孤児院物語」に引用されている。

☆27~3月2日まで留守をします。更新はひな祭りの日です。
悪しからず。

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