岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

繰り返す意味。

2010-06-06 05:52:49 | ケアラーのために


書棚に埋もれる本を読みかえすことがあります。
新しい本を読むことに時間をかけるのもままならないので
時間をかけてはいませんが。

世界で最も「繰り返す」本をやはりキリスト教の聖書でしょう。
毎日曜の礼拝どころか、日々刻々と「繰り返し」読まれる本です。

地上にある宗教で、「繰り返す」ことを、力の源泉にしていない宗教はありません。

1週間に一度の休息日は、神を思い出してもらうための「繰り返し」のためにあると言えます。
1週間はそのまま「1習慣」でもあります。

週間が集まって月間となり、月間が集まって年間となります。
「繰り返す」ことが、より大きく「繰り返す」。
季節が「繰り返す」ことが、生活であり、人生です。

「繰り返す」ことには大きな意味があります。
私たちは日頃から、その「繰り返しの達人」と接しています。
高齢者の方々です。

私たちは、人生を直線的に理解しがちです。
誕生からのライフステージが年齢とともに進み、高齢に至った。多くの機能は衰えて、苦労されている方が多い。
私たちが、高齢者の方と接するときに、そのように見てしまいます。

つい、「お歳はいくつだろう」と思ってしまいます。

年齢は直線的なもの。
過ぎた歳は戻ってはきません。
過ぎた歳月は、失われて過去のように私たちには見えるでしょう。

しかし、高齢の方にとって、過去はいつもそばに「繰り返えされる」ことです。
人生は「繰り返し」の積み重ねという見かたをすれば、誕生から成長し高齢になった次の「繰り返し」は誕生です。
高齢と誕生は、「繰り返し」の輪の隣にあります。

高齢の方が、次の「繰り返し」の端緒である幼年期や年少期のことをよく話されるのは理解できることです。

人は、「繰り返す」ことを大切にし楽しむ。
楽しみ尽くす。
高齢者の方が「同じ話を繰り返す楽しみ」に、またかと思うことが少なくないのですが、これはとんでもない思い違いですね。

直線的な思考から、リサイクルな思考へ。
頭を切り替えないとならないのは私のようです。

※考えてみれば、一度使った写真は再度掲載することはありませんでした。なぜでしょうか。
 答⇒頭が固いから。

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2 コメント

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生活歴 (どりーむ)
2010-06-06 16:41:21
とても、示唆にとんだ内容でした。

そして、ここ数日、
「生活歴」ということをキーワードに
思いを巡らせていたので、
余計に、ハッとさせられた思いです。

私たちが「生活歴」を伺うとき、
単に、過去にされていた
仕事や趣味といった「行為」にのみに
意識が行きがちですが、
それらを「どのように」生活の中で、
行われてきたのか。
それが「生活歴」を伺う、
もう一つの意味ではないかと、
まだ、思いの途中段階ではありますが、
考えさせられました。

ありがとうございます。
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「他者の生活とは」 (岩清水)
2010-06-06 22:15:03
どりーむ様
コメントありがとうございます。

考えてみれば、私たちの仕事は随分と失礼なことをしていると思います。
日常の会話では聞けないことを聞いてしまいます。
介護保険のサービス給付には関係ないと思うことも多いです。
実際、ほとんどの方は生活歴を聞く必要はありません。
知らなくても困ることはない場合が多いですね。
逆に知ることで、自らの先入観にとらわれることも多いです。
人生の遙か後輩が、先輩に説教する図だけは
避けたいと思います。
どりーむさんのブログを読ませていただいて
ぜひコメントを書かなくてはと思いながら、
なかなか出来ません。
悪しからずご容赦を。
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