賃金という「働き」の面では天地の差があるが、アスリートとしてのレベルは
差がないと感じた。
今夜のスポーツ大陸を観ての感想だ。
私は為末選手に関しては、特別な知識はなかった。
世界選手権で銅メダルをとっている世界的な選手だし、風貌どおり、
練習方法に独創性があるということくらいだ。
最近は、試合に出ていないことが気になっていた。
6月27日に日本選手権があった。
この大会に勝たなくては北京五輪の道は絶たれてしまう。
4月に現役を引退した柔道の井上選手の後を追うことになる。
その恐怖が日に一度は襲ってきたという。
為末選手の怪我は重傷だった。ふくらはぎとアキレス腱の痛みは
試合当日まで引かなかった。
当然、練習ができない。
練習ができなくて一番困るのはスタミナがなくなることだ。
テクニックではない。
特に中距離は、もっとも激しいスポーツだ。
400m全力疾走すると酸欠で視界も定かでなくなるという。
ゴール後、ほとんどの選手はへたり込んで起き上がれない。
日本選手権前に一度だけ実走する機会があったが、スタミナが切れて、最悪のタイムだった。
日本選手権の予選でも、力は出せず、決勝進出の最後の一人だった。
しかし、決勝は違った。
私は、この日はテレビ観戦をしていた。
解説者は為末選手の選手権までの道のりの険しさを話していた。
これは大変なことになったぞ、と思った。
400mハードル決勝のピストルが鳴った。
為末選手は猛烈なスタートダッシュをする(試合後、コントロールが効かなかったと話した)。
他の選手を引き離すスピードがあった。
このスピードを獲得するために、彼は2年近くを費やした。
そのことが故障にも関係しているのだが。
バックストレッチで後続に差をつける。
第3コーナー、第4コーナーを回るとさすがに他の選手が追いついてきた。
為末選手のスピードも落ちてきたように感じた。
コーナーを抜ける。ホームストレッチに入ると、ほぼ並ばれた。
抜かれるな。ここまでかと思った。
最後のハードルを飛び越えると後は40mの直線だ。
今までは、ここで足が止まっていたのだ。
ところがである。
私は目を疑った。為末選手の足が伸びたのだ。
後続の選手が再び引き離された。
ありえないことがおこった。
こうして、為末選手は北京五輪に進むことになった。
理論派と言われ、コーチを拒否する彼が理詰めで考えた末に、感情の爆発が
あった。
しかし彼を支えたのは、400日を越えるハードル封じの走力のみのトレーニングで
身につけたスピードであったことは間違いない。
ここでアキレス腱が切れてもいいと思い切ったとき、意識されざる自己抑制の
安全装置が外されたのだ。
それを彼は感情といった。
このようなシーンを目撃する醍醐味がスポーツ観戦には、稀にある。
差がないと感じた。
今夜のスポーツ大陸を観ての感想だ。
私は為末選手に関しては、特別な知識はなかった。
世界選手権で銅メダルをとっている世界的な選手だし、風貌どおり、
練習方法に独創性があるということくらいだ。
最近は、試合に出ていないことが気になっていた。
6月27日に日本選手権があった。
この大会に勝たなくては北京五輪の道は絶たれてしまう。
4月に現役を引退した柔道の井上選手の後を追うことになる。
その恐怖が日に一度は襲ってきたという。
為末選手の怪我は重傷だった。ふくらはぎとアキレス腱の痛みは
試合当日まで引かなかった。
当然、練習ができない。
練習ができなくて一番困るのはスタミナがなくなることだ。
テクニックではない。
特に中距離は、もっとも激しいスポーツだ。
400m全力疾走すると酸欠で視界も定かでなくなるという。
ゴール後、ほとんどの選手はへたり込んで起き上がれない。
日本選手権前に一度だけ実走する機会があったが、スタミナが切れて、最悪のタイムだった。
日本選手権の予選でも、力は出せず、決勝進出の最後の一人だった。
しかし、決勝は違った。
私は、この日はテレビ観戦をしていた。
解説者は為末選手の選手権までの道のりの険しさを話していた。
これは大変なことになったぞ、と思った。
400mハードル決勝のピストルが鳴った。
為末選手は猛烈なスタートダッシュをする(試合後、コントロールが効かなかったと話した)。
他の選手を引き離すスピードがあった。
このスピードを獲得するために、彼は2年近くを費やした。
そのことが故障にも関係しているのだが。
バックストレッチで後続に差をつける。
第3コーナー、第4コーナーを回るとさすがに他の選手が追いついてきた。
為末選手のスピードも落ちてきたように感じた。
コーナーを抜ける。ホームストレッチに入ると、ほぼ並ばれた。
抜かれるな。ここまでかと思った。
最後のハードルを飛び越えると後は40mの直線だ。
今までは、ここで足が止まっていたのだ。
ところがである。
私は目を疑った。為末選手の足が伸びたのだ。
後続の選手が再び引き離された。
ありえないことがおこった。
こうして、為末選手は北京五輪に進むことになった。
理論派と言われ、コーチを拒否する彼が理詰めで考えた末に、感情の爆発が
あった。
しかし彼を支えたのは、400日を越えるハードル封じの走力のみのトレーニングで
身につけたスピードであったことは間違いない。
ここでアキレス腱が切れてもいいと思い切ったとき、意識されざる自己抑制の
安全装置が外されたのだ。
それを彼は感情といった。
このようなシーンを目撃する醍醐味がスポーツ観戦には、稀にある。