岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

東北の旅を振り返って 1

2013-07-05 11:24:09 | 東北 2013年4月
2013年4月に行った「東北の旅」を長い間、ブログに書いていきました。
仙台市から東に向かい三陸海岸を宮古市田老まで北上した旅でした。
津波の被災地の多くは更地へと変貌し新たな街づくりを待っている状況です。
震災後2年を経過して、残っていた震災遺構の多くが解体されなくなりつつあります。
この東北の旅で撮影した震災遺構の多くは今はないのです。
震災2年の慰霊祭を終えた後に取り壊すという取り決めがあったのではないと思います。

「震災遺構の保存」についてのネット上での話し合いも行われていますが、その間にも震災遺構の多くはなくなっています。
これでは、話し合いの意味もなくなってしまうのではないでしょうか。

復興もスケジュール化され、時間という区切りに多くの事柄が埋没していっています。
時間の区切りは効率優先の行動となり、行政や住民の熟慮の時間を奪っています。

復興にもいろいろあると思います。
そして、その多くは時間をかけて熟慮されながら進めるべきものだと思います。
生活がかかっているのだから早い復興が必要という意見は当然です。
そのことも踏まえて、熟慮し復興計画を練ることに十分な時間を確保できないものかと思います。

震災遺構に関しては、現実的はほとんどなくなってしまうでしょう。
東北全体で数か所しか残らないでしょう。
その数か所は保存していただきたいと思います。
各自治体は震災歴史館・資料館の建設を進めていただきたい。
語り部の方々のお話も大切な伝承です。

遠野の宿でお話をした滋賀県の男性は中尊寺や遠野を観光しながらも三陸海岸には行くことができないと言われました。
このようなお気持ちの人々も多いのです。
それは被災地に観光気分で行っては申し訳ないという気持ちだと思います。
被災地の自治体や住民の方々から「ぜひ来てください」という言葉を聞きながらも、そのお誘いに乗ることができない思いがあるのです。

私自身は、ぜひ全国のみなさんに東北被災地に行ってほしいと思っています。
当然、一般的な「観光」とは異なります。
非日常を楽しむ「観光」とはいうわけにはいきません。
しかし、私たちにはいわゆる「観光」以外にも必要な旅行があるのではないでしょうか。
人として、仲間として。
必要な「観光」が。


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