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北海道花暦(はなごよみ)を作ったMさんに会いました。
曜日の入っていない月日だけのカレンダーに日々の植物画が書き込まれていて、毎年使える花暦です。描かれている植物はもちろん北海道の自生種ばかり。きれいな植物画に目を奪われます。
もともとこれを企画したMさんは、植物写真を365枚集めて、植物写真による花暦を作ろうと思ったのだそう。
そこで北海道の植物の権威である辻井達一先生に相談に行ったところ、「Mさん、『図鑑』っていうでしょう?植物を表現するのは絵の方が良いんですよ」と言われたのだそう。
「そ、そうは言われても、植物画なんて今からはとても…」とMさん。
すると辻井先生は「はは、そういう植物画を描くことを楽しんでいる人たちがいるんですよ。紹介状を書いてあげるから行ってご覧なさい」と笑ったのだそう。
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辻井先生に紹介されてMさんが向かったのは北海道植物画協会というところで、植物画を描くことを楽しみに日々活動している方のグループなのでした。
そこで描かれた植物の数々から365点を選び、日々のカレンダーにした北海道花暦が出来ました。
実はこの協会で植物の絵を描いていても、画集はなかなか売れるわけでもなく世に発表をする場というのはあまりないよう。それがこのカレンダーにしたところ思いのほか売れているのだそうです。
このカレンダー、売れれば絵を採用された方に少しだけマージンも渡るようになっています。でもそんなお金よりも、自分の名前が載った絵がたくさんの人の目に触れる事の方がずっと嬉しいのです。
この花暦、季節の花を出来るだけあてていますが、実は作者の誕生日にはその作者自身の絵を載せているんだそう。
植物も、きれいな花はもちろんですが、枯れ葉、シラカバの樹皮、昆布まで植物画の対象は実に広範囲。
今売られているのは、札幌駅前の大丸デパートと道立近代美術館が中心でお値段は1,575円。近代美術館では一番売れるお土産なのだそうですよ。
描き溜めた植物画という資産が日の目を見て、描いた人、企画した人、買った人みんなが喜ぶ日めくり画集が出来ました。
北海道花暦、北海道をこういう形で味わえるのは良いです。
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