北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

公共事業者も社会保障の世界を学ぼう

2013-07-23 23:13:38 | Weblog

 ここ数年、「公共事業に携わる我々も、ちゃんと福祉の勉強をした方が良いよ」と考えていて、機会があればそういう話もしているところ。

 ここ何年かの民主党政権の下では、事実として公共事業関係予算は削りに削られて、現代社会に相応しいインフラの整備と管理はかなりつらい目にあわされてきました。

 ところが、世間の中には適切な額の公共事業という考え方には反発する向きもあって、公共事業関係者はいつも「なぜもっとちゃんと公共事業に予算を回してくれないのか」と不満に思っているのです。

 地方自治体にいると、まさに市を取り巻く課題に対して対応する予算ということがあるので、公共事業だけを考えてもいられないという思いもわかりますし、やはり福祉や民生関係が重視されてしまうという現実も良くわかるもの。

 つまり、国全体の財政状況と予算配分の仕組みが分からないと、公共事業だけの理論だけでは通用しないということなのです。


 そんなわけで、社会保障や年金、医療、福祉などといった分野を財政の面から一度ちゃんと勉強しておいた方が良い、というのが私の実感であるわけ。

 ところがこの社会保障や年金という問題は、きわめて奥が深くて難しい分野でもあります。

 歴史から入ろうと思うと、アダム・スミスの「国富論」から入らないといけないし、アダム・スミスと言えば、「見えざる手」なんて言って、経済学の親玉みたいに思われていますが、実は「国富論」の前には「道徳感情論」という著書を表していて、「近代市民社会における利己的でバラバラの個人が、『共感』をある種の秩序の源としてまとまっている」というようなことを述べています。

 経済学というものがそもそも人々の幸せをもたらす原理の追求だったということもちゃんと知っておいた方がよいでしょう。


     ◆   


 またそれが進んだ複雑を極める現代社会においては、年金や医療などの社会的なインフラも整ったのに、それに対する将来性が不安視されたりして、ときには政争の道具にされたりもします。

 政権交代前に民主党が散々煽った、「年金は破綻する」という命題も、素人には本当なのかウソなのかが全く分かりません。

 このような、全く分からない分野の問題にアプローチするにはどうしたらよいでしょう?

 私の答えは、「信用できる先生の本やブログをしっかり読んで惑わされないように勉強すること」というもの。

 そんな私がこと社会保障や年金問題で絶大な信頼を寄せているのが、慶応大学商学部の権丈善一(けんじょうよしかず)教授です。

 権丈先生は、日々の活動や発言履歴、参考になる資料などを惜しげもなくホームページで披露してくださっていて、その量たるや膨大です。

 私の身近な人たちでも、「将来、年金なんてあてにならないしね」などという言葉を平気で吐いたりしているのですが、権丈先生は、「年金は破綻しない」ということを明確に述べられています。

 なぜ破綻しないのかを語るのはとてもこの紙幅では無理なので、ぜひ権丈先生の著書やホームページで勉強していただきたいと思います。

 また、恐るべきことは、年金問題会を語る学者さんたち自身がほとんどそのシステムを理解していなかったり、先に立つ思い込みで議論しているトンデモ話に近い現実があったりするようでもあるのです。

 テレビや新聞でも有名な先生が言っていることが、実は根拠が全くなかったり思い込みで話しているなんて、素人の我々にはとても分かりません。

  
 でも少しでも理解しようと努めて、国全体がどういう仕組みと理屈で動いているのかを知っておくことは大切な事なのだと思います。


   ◆   ◆   ◆


 参考までに、権丈先生がホームページに貼られている、「人任せ教材」という欄をご紹介しておきます。

 この中には、「年金破綻論のまやかし」や、「未納が増えても年金は破綻しない」とか、「年金は世界有数のひっかけ問題だ」などといった、興味深くかつわりと読みやすい雑誌記事なども掲載されているので、とっかかりとしては入りやすいコーナーです。

 【権丈先生の人任せ教材】 http://bit.ly/13XGRgg

 毎月ちゃんと取られていながら、どういう仕組みで支払われることになるのかわからない年金問題も、まずは一度じっくりと勉強してみることをお勧めします。

 私たちの公共事業も、そういう世界とは決して無縁ではないのです。 
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする