世の中には様々な講演会や勉強会がそこここで催されています。
参加して良い話を聞く機会は実にたくさんありますが、そうした講演会は運営の仕方にもよりますが、最後に講師に対して質問の時間を取ってくれることがあります。
私は常日頃から、部下や同僚に対して言っているのは、「講演会などの最後に質問の機会があれば、必ず一問質問をしてから帰ってくるようにすると良いよ」ということです。
そしてそう言うからには、私自身も質問の時間には手を上げて質問をするように心がけています。
このことにはいくつかの意味がありますが、その一つ目は、「よく話を聞くようになる」というもの。
最初から、(必ず質問をしよう)という意識で公園を聞くと、まず講師の話をよく聞きます。
逆にうっかり寝てしまって聞き逃したりすると、もしかしたら話したことを質問してしまうかも知れないと恐くなって質問ができません。
ですから寝てはいられないし、質問しようと思ったことを講師から話されたりすると、質問は変えなくてはなりません。
講演の全体を理解した上で、なお話題を引っ張り出すような良い質問をするという真剣勝負なので、そのためにこちらも真剣に話を聞くようになるのです。
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次に、「議論を深めること」ができます。
講師が話した内容で足りない部分や、もう少し詳しく聞きたいという所にピンポイントで質問を投げかけることで、講師の方は話足りなかった所を補ってさらに興味深い話を聞かせてくれるものです。
それは自分の経験や知識も伝えて会場に話題を提供しつつ、講師からより議論を深める話を引き出すので、議論が更に深まります。
逆に言うと、講師の中からそういう話題を引っ張り出せるような良い質問でなくてはいけませんし、そういう質問ができるように自分も普段から勉強をしておかなくてはなりません。
自分の普段からの勉強がさらに深まることは間違いありません。
さらには度胸もつきます。大勢が見ている中で、論点を明らかにしながら端的に話をするのはなかなか勇気がいることです。
しかし敢えてそれをクリアすることで、まさに度胸の「経験値」が上がってゆきます。
大勢の前で話す訓練なんてそうそうできるものではありませんから、絶好の機会と言えるでしょう。
そして、なによりも講演後の質問は講師に対するおもてなしでありお礼であるということです。
私も時々人前で話をすることがありますが、できるだけ質問の時間を取るように心がけます。
そして話が終わった後で質問をしてくるかどうかは、自分の話が聴衆の皆さんの興味を引いたかどうか、とバロメーターでもあるのです。
何も質問がない、というのは、講師に対して「疲れたでしょうからもうお休みください」という心遣いであるかも知れない反面、「話には余り興味が無かった」ということの無言の不満であるかも知れないのです。
そのどちらかを打ち破ってくれるのは、会場からの質問に他なりません。それは「もっと知りたい」という気持ちの表れだからです。
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以前、とても良い話の聞けた講演会がありました。
ちゃんと質問もできて、そこでさらに議論が深まってすばらしい時間を過ごすことができました。
その講演会からの帰り道で、それなりに地位のある後輩と会ったので、「さっきの講演会の感想はどうですか?」と訊いてみたところ、実にレベルの低い感想しかなくて、がっかりしたことがありました。
思わず、「そんな、それなりのポストを与えられていて、指導的立場にあるのにそんな感想しかないのかねえ」と詰問してしまいましたが、講師に対して申し訳なく思ったのでした。
さてそんなわけで、良いお話の講演会があったら、皆さんもこぞって質問をするように心がけていただきたいと思います。
それが講師への一番のお礼なのです。