【ラウンドアバウト(Wikipediaより)
道路整備の用語に、「ラウンドアバウト」または「ラウンダバウト」という単語があります。
英語で書くと、"roundabout"という綴りですが、慣れた日本語で言うと、「ロータリー交差点」ということになります。
北海道だと、旭川や釧路、小樽などにあって、そこが画面に出るだけで、どの町か、ということがすぐわかるくらいに印象的な道路風景になっています。
で、このラウンドアバウト、先の東日本大震災の影響で今注目を浴びています。
それは、一つには交差点処理をするのに信号制御が必要なくて、車は交差点に入ってそのまま行きたい方向に向かうことができること。
実は、震災や津波の被害を受けたところでは、電気が通じなくて信号制御ができないところが頻発し、かといって交通整理のお巡りさんを回しきるわけにもいかず、東北地方では交差点事故が多発したということが経験として語られているのです。
そのため、電気も交通整理員も必要としない交差点処理方法として、このラウンドアバウトが注目されているというわけ。
この方式のメリットは、上記の電気や整理員が要らないということに加えて、中央島などのスペースに除雪の雪を置くことができる、ということや、停止をしないために、交通速度は向上するとも言われています。
また、欧米などの調査では、出会いがしらの衝突ということが無くなって、事故発生数や負傷者の出る重大事故が減るという研究結果も出ています。
その反対のデメリットとしては、一定の直径の円形スペースを取るためには、広い用地が必要となること、また交通量が多いところなどでは、運転に自信がないとなかなか流れの中に入りにくくもたもたしてしまいがちだ、ということ。
北海道のように土地が広く、郊外であまり交通量のない交差点処理方法としては、従来から注目はされていたものの、公安委員会があまり良い顔をせずに、実現されずにいたのですが、風向きが変わるかもしれません。
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ただ、長野県飯田市の東和町交差点では、2013年2月5日から日本初の試みとして、従来設置されていた信号機を撤去したうえでラウンドアバウトとしての運用を開始したのだそう。
従来の交差点をラウンドアバウトに改良した事例が出始めている、ということで、これからの交差点のあり方として、メリットを生かせるような気運が高まっていると言えそうです。
ただ、元々円の中を走っている車を優先とするか、交差点では左方優先という現在の道路交通法とがやや混乱を招いている面も見受けられ、新たな法制度が必要となるかもしれません。
効率といざというときの交通処理の簡便さがどれだけ世間に認められるでしょうか。
運転には少々の慣れが必要かもしれませんけどね。