土木工事をICTと機械力を使って効率化を図ろうという「情報化施工とCIM」に関するシンポジウムを開きました。
そもそもの問題意識は、今後我が国の人口が減ると、建設業に従事する人たちも当然減ってきます。それなのに維持管理すべきインフラは得るどころか増えてゆきます。そしてそれらの維持管理と更新に投入できる予算には限りがあって、我が国のインフラを守る体制の根底が揺らぎかけているということです。
しかも建設業に従事する人たちも高齢化しており、熟練の技が新しく入って来る若い人たちにうまく繋がるのかどうか、と言うことも心配です。
このような問題に対する一つの解答は、『建設業をより効率的にすること』であり、その方向の一つが機械を自動化したり、様々な建設データを有効に使って、調査から設計、施工、維持管理へとつながるトータルな流れをより省力化することにあるに違いありません。
CIMとは、"Construction Information Modeling"の頭文字をとった略語で、建設に関する情報を使い尽くすというイメージの言葉です。
以前はそういうことを言われても、「やれれば便利だね」というくらいの構想でしたが、最近はコンピューターの発達と、衛星を使った測量の精度が上がってきたことで、かなりいろいろなことがやれる社会環境が整ってきました。
国としても、一定規模以上の工事では積極的にICT化された機械を使った「情報化施工」をするように指定をして、情報化施工の経験を増やそうとしています。
しかし機械が高価な事やデータを作る手間と人材の問題、安定した利益などいくつもの不安定な要素があって、なかなかこの手の施工が一般化する機運が盛り上がっていません。
業者さんは二極化しつつあって、「ICT化と情報化施工を進めなければ次の世代は大変なことになる」と考えて積極的に情報化施工に取り組む業者がいる一方で、まだまだ様子見のところが大半を占めています。
しかし、もうそろそろ本腰を入れて効率化への取り組みをしてゆかないといけない時期に近づいています。
今日はそうした取り組みの各種委員会で委員長を務められている立命館大学の建山先生の基調講演や、実際にさまざまな取り組みを行っている業者さんの報告、そして私も出演してのパネルディスカッションを行いましたが、聞いてくださっていた方には課題を共有することができたと思います。
パネルディスカッションの中では、工業高校や土木の専門学校でもこうした動きをもっと学生に教えたいが教材や実際に現場を見る機械などが不足しているという声があり、こうしたことにもっと企業も協力して連携できる可能性があるように思います。
難しいテーマですが、このテーマでの勉強会はこれからも回を重ねて意識を高めてゆきたいもの。
建設業の効率化と魅力化は待ったなしです。