緑茶の産出額で、これまで長く首位を守ってきた静岡県が2019年の統計で鹿児島県に抜かれて2位になったという報道がありました。
静岡びいきの私としては、今回は金額で『敗れた』と思っているわけですが、その理由として、高級茶の需要が低下して売れなくなったことが最も大きな要因です。
次には生産の効率性が挙げられていて、静岡が斜面での小規模な茶畑が多いのに対して、鹿児島県では平坦な地形で機械化も進んでいることが生産規模の拡大面で追いつかれたということでしょう。
健康志向で砂糖入りのボトルドリンクからお茶に変えるという人が増えてはいるものの、ボトルの緑茶は春の新茶ではなく夏や秋の二番茶、三番茶で安い茶葉が使われており、産出額としての寄与度は高くありません。
問題は一番値段が高い春の新茶、それも急須で飲む茶葉の需要が減少していることです。
お茶のライバルはコーヒーであり、静岡茶のライバルは鹿児島県と言っていたのは掛川市長の榛村さんでしたが、その心配が現実になりました。
お茶の消費はお米の消費傾向に近くて、おコメの消費量が下がるにつれお茶の消費が減っています。
また日本人の嗜好飲料としてはコーヒーがじわじわと増えており、その分緑茶の飲まれる機会が減っているといえるでしょう。
お茶のファンである私ではあるのですが、自分自身のライフスタイルでも、キャンプへ行ったり釣りに行った際の休憩にはやはりコーヒーを飲みたくなりますし、コーヒーを飲む雰囲気がよろしく感じます。
ということは、日常のアクティビティの中にすでにコーヒーが格好いい飲み物として取り込まれている反面、お茶を飲んでいいな、と思うシーンが限定的になりつつあるということです。
ティーバッグにしたり、粉茶にしたりといろいろな飲み方も提案されてはいるものの、ライフスタイルの洋風化とともにコーヒーに押されている緑茶。
日常生活から急須も消えようとしている今日、茶葉で飲む緑茶の復権はいかにあるべきでしょうか。
静岡も鹿児島も、お互いをライバル視する以上に、茶葉の盛り返しに頑張らなくては、ね。