先日実家を訪れて、母の買い物サポートなどをしてきました。
買い物が終わって実家でくつろいでいるときに、「なにか変わったことはない?」と訊いてみるとと、「お父さんが貼り薬を『かゆいかゆい』って剥がしちゃうんだよ」と母。
「それって何の薬?」
「認知症を遅らせる薬だっていうんだけど、粘着剤のついた貼り薬なのさ。それが、以前は名刺くらいの大きさだったのが、病院で検査したら認知症の数値が悪くなったとかで、今回から2倍の大きさになったの。
一日一枚で、主に背中に貼るようにして毎回貼るところを変えているんだけどね。小さかったときはずらしずらし貼っていって最初に貼ったところにまた貼っても大丈夫だったんだよ。それが、倍に大きくなったのでずらしても最初に貼るところまで戻る順番が早くなって、そこに貼るともうかゆいって、寝ながらでも剥がしちゃうんだよ」
ネットで薬の名前を調べると、確かに認知症を遅らせるという振れ込みの貼り薬で、大と小の2種類の大きさの薬がありました。
しかし説明書をよく見ると、それほど劇的な効果を期待するほどの薬でもないようです。
そもそも90歳を超えて認知症の傾向が表れたものを劇的に変えるほどの効果は期待できないんじゃないかな、と息子としては思うのですが、母はそうではないらしい。
一つには、「お医者さんからもらった薬だから言われたようにちゃんと処方するべきだ」という義務感と、二つ目には「少しでも認知症を遅らせられるなら」という願いにも似た期待感がありそうです。
しかしそれにしても、副作用とは言わないまでも貼り薬で体が痒くなっていたたまれないというので、日常生活に支障が出ているということにほかなりません。
「お医者さんに、貼り薬で痒くなって困ります、と伝えるか、それでも変えてくれなくて同じ薬が処方されるようなら、もらった薬でも貼らない、という防衛手段もあるよね。なにが一番父さんのためになるか考えた方がいいんじゃないかな」
そう言うと母は、「そうだね、病院に電話してみるよ」と言ってくれました。
実はそれ以外にも、なんだかんだで飲み薬を山のようにもらっていて、毎食後にそれらを飲むのに父は苦労しているのだと。
「それでも薬を減らしてくれないしねえ」
さて、わが身に立ち返ると、自分自身いったい何歳になるまで病院にかかるつもりがあるでしょう。
ある程度の年齢になれば私自身、「体に病気や不具合はあって当たり前」と悟りを開けるようになるのでしょうか。
それともいつまでも煩悩に悩まされるのか。
親の姿を見て、わが身のことを考えています。
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