実際のところ親の介護について考え始めると、まず何をすればよいのか、ということがなかなかわかりません。
なにか本を読めばよいのだろうけれど、それだってどんな本を読んだらよいかもわからない。
誰か知っている人に聞くというてもありそうですが、では誰に聞いたら良いか。
まあ何かを始めようと思うと、短時間でものになるということはないもので、①本を読む、②人に聞く、③実際にやってみる、④腹落ちするところまで悩む…と言う形で時間をかけてアプローチするしかないのかな、と思います。
そんななか、読みやすくて介護の真理に近いところに近づけてくれるような本に会いました。
タイトルは「最高の介護」で、副題に「介護のお医者さんが教える満点介護」とあります。
満点の介護なんてあるかな、と思いますが、さまざまな不安や悩みの霧を少しは晴らしてくれそうです。
著者の田口真子さんは、現役のお医者さんとしていくつもの病院に勤務したのち、介護老人保健施設(老健)の施設長となり介護に携わる日々を過ごしています。
その経験と日常を「介護のお医者さん20年目!介護とうまくつきあっていこう」というブログに書き連ね、それが高齢者・介護ブログ村ランキングで一位に輝く人気になりました。
そうした積み重ねがこの本のベースになっています。
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今介護の世界では、要介護者にはできるだけ在宅で過ごしてもらうことを最優先に考えた制度になっています。
それは施設介護が増えると介護保険からの支出が増大して、支える側の負担が大きくなるから。
なので、できるだけ施設を利用せずに在宅で過ごしてもらいたいというのが本音なのですが、お年寄りにしてもやはり住み慣れた家で慣れた暮らしを営めればそれが一番です。
だから「できないことを支援することで家で過ごせるように」ということが要介護者と介護者の双方にとっても助かることです。
しかしこの本の中で著者の田口さんが実際に介護をしようとしている人、している人に伝えたいことは、「介護をしているあなたの人生を優先してほしい。そして在宅介護に困ったら、施設に入れることに罪悪感を持たないでほしい、入所をためらわないでほしい」ということです。
できるだけ施設を使わない社会であってほしいと思う反面、もうそうせざるを得ないときは介護をしている方には無理をせず施設介護に迷わないで、ということ。
そのうえで著者は、「老健(介護老人保健施設)を上手に使うとよいですよ」とアドバイスをしています。
短期間の宿泊もできるし、柔軟な使い勝手ができるので選択肢から外さないほうが良いですよ、というのです。
まあ私も父の認知症に伴ってケアマネさんと打ち合わせたときに、「例えばですが、父が将来施設介護が必要になったとしたときに、老健と言う選択肢はありますか?」と訊いてみましたが答えは「う~ん、手近なところはたいがい満室ですからねえ。次にいつ空くかも予定が立たない感じでしょうかね」というものでした。
大都会ならそうではないのかもしれませんが、両親の住む地域では老健が潤沢にあるということではなさそうです。
ただ「制度としての老健」は知っておくほうが良いとは思います。
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この本では、細かい介護のスキルや技術というよりも、介護をする方にとっての心構えとして「無理をしないでね」ということをいくつもの事例を示しながら丁寧に教えてくれます。
ただ介護の実際の姿は千差万別で教科書通りということにはならないでしょう。
でも「無理しない」という一点で、無理になれば人にも施設にも頼ることを恥じないでよい、ということは知っておいてよいと思います。
介護をする側が潰れてしまって、幸せになることはないのですから。
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