いつもの床屋さんでの床屋談義。
わが建設業界には若手が少ないんだ、という話をしたところ、「どこでも同じでしょうけれど、理美容業もなり手は少ないです」と言います。
「でも毎年何人も理美容の学校を卒業して資格を取るわけでしょう?」
「でもその全員が床屋になるわけではないですからね。僕のときだと10人いたとして床屋をやっているのは2人くらいです。後は皆別な仕事についてますよ」
「なぜ?やっぱり大変だから?」
「そうですね、最初は腕がないから給料も安いし、髪形を作るのが好きで面白いと思わないと長く続かないですね」
ほかの知り合いの床屋さんでは18歳で入りたての男子がいたのですが、遅刻をしたり無断で休むことがあったりして、やっぱり辞めてしまったのだそう。
「向き・不向きって言いますけど、やっぱり仕事を面白いと思うかどうかなんだと思います」
「之を知る者は、之を好む者に如かず
之を好む者は、之を楽しむ者に如かず」(論語雍也編 )
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「ところで床屋さんとなると、客とおしゃべりもしなくちゃならないでしょう?」
「はい、僕も最初は全く話すネタがなくて『はい、はい』くらいしか言えませんでした」
「今はとても上手に客に合わせたトークができるじゃないですか」
「僕、趣味だけは手広くて長続きしなかったものもたくさんあるんですが、まずはその趣味についていろいろ調べる癖があるんです。なので趣味の腕は上がらなくても知識だけはあるって感じで。なのでちょっとした話題を口にすると逆にお客さんの方からいろいろ教えてもらえて、耳学問が増えて話すことが増えてきてトークに慣れてきたんです」
床屋さんは髪を切るだけじゃなくてお客をトークで癒すことも必要なのです。
「知ってますか?売れっ子になるクラブの女の子って、客が帰った後にその人とどんな話題の話をしたかをメモにして残しているんだそうです。それが次の使命に繋がるんだと」
「良くありそうな話ですね。床屋でも客とどんな話をしたかをカルテにめもしてあるんじゃないですか?」
「いえ、今はお客さんとの話を覚えていられるようになったものですから」
そういって彼はにっこり笑いました。
相手のことを覚えているというのは営業や接待の極意の一つですね。
僕は挨拶回りでのトークの内容もメモしておくことにしています。
後でそれが探せないという事もよくあるのですが(笑)。
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