蒸し暑い1日でした。
代情房子さんの個展にタヌキと行ってきました。
タヌキが10年ほど前に「ファウストを読み直す」と題して勉強会を東京・東中野で始めました。ファウストというゲーテの作品の題名は有名ですが、全部読むのは困難な作品だと思います。ですが、第一部はファウストとマルガリータの悲恋の物語なので誰でもするすると読めます。私もかなり前に第一部を読み終えました。しかし、第二部に入ると挫折そのままにしていました。この勉強会では役割分担で読み進めましたので皆さんと一緒に読み終えることができました。この勉強会に途中から代情さんが参加してくださいました。
この勉強会は読み終えたところで2年ほど中断し、東神奈川で継続して行っています。
代情さんはシルクスクリーンの版画家です。日本よりも海外で高く評価されていて、つい先日にもフランスのル・サロン展に入選なさいました。
今回のル・サロン入選の作品
母船・地球号の守りV(65×50cm)
2011年
第78回旺玄会展
第51回旺玄会神奈川支部展 受賞
(原爆忌によせて)
広島に原子爆弾が投下されてから60余年、世界平和を祈り、核廃絶を訴え続けているのに、その願いはまだ実現されず、現代人は地球滅亡の危機に怯えています。そこで8月6日の原爆忌の夜に、人類の負の遺産・原爆ドームの前の川で行われる灯籠流しを取り上げ、核廃絶への祈りを表現してみました。
更に古代バビロニアの天文学から生まれ、古代ギリシャを経て、欧州に伝わった西洋古代の宇宙観を表す黄道十二宮と、古代中国の天文学から生まれ、朝鮮を経て日本に伝わった東洋古代の宇宙観を表す四神説とを融合させると同時に、21世紀の日本の科学の華・月探査衛星「かぐや」が宇宙から送って来た我らの母船・地球号の周りに、インドで生まれた仏教の八尊仏の内の不動明王と文殊菩薩の梵字をデフォルメした雲をなびかせ、数千年の人類文明に一貫して流れる平和への祈りをも表現し、現代人の悲願・核廃絶への祈りの通奏低音としてみました。
レクサス小石川の代情さんの個展もあと1週間ということで、タヌキと出かけました。
トヨタのショールームでの展示です。
レクサス小石川へのアクセス:東京メトロ丸の内線「後楽園」駅から数分
個展案内の掲示はないので、レクサス小石川に着いたら職員の方に声をかけるといいです。
(ショールームの2Fです)
画像をクリックすると拡大します。
上左の作品
<母船・地球号の守り1>
(65×50)cm 2009年作
2009年
第88回朱葉会記念展
2009年
第12回西湖芸術博覧会(中国)
「地球環境賞」受賞
2009年
北星学園学園祭のモザイク画の
原画となる
2010年
MINERVA4(ランドマークタワー)
「国際女性栄誉賞」受賞
2010年
「ART JOURNAL Vol.64」掲載
2010年
ル・サロン展
<2009年第88回朱葉会記念展に寄せて>
2005~2008年にかけての「四神シリーズ」は、東西南北の守護神としての視点から四神を取り上 げ、世界平和を祈る作品でしたが、2008年にアメリカで発生した金融危機によって,世界中が同時不況に落ち込み、2009年の年明けは非常に暗く、環境の悪化が取り沙汰されながら,対策は滞りがちで、もはや4月を迎えてしまいました。そこで「四神シリーズ第二弾」は、春夏秋冬の神としての視点から四神を取り上げ,我々生命体の母船・地球号の環境保全を祈る作品をと思い,桜と青竜による「母船・地球号の守り1」をお届け致します。
「このまま地球環境の悪化が進めば,将来世代の人々は桜咲く春の幸せを享受出来なくなるのでは」という不安が胸をよぎり,羽の美しさ故に乱獲され,人間の欲によって絶滅させられた”トキ”ニッポニア・ニッポンの幻影が脳裏をかすめました。
そこで月探査衛星「かぐや」が捕らえた我々の母船・地球号の映像が浮かぶ虚空に、絶滅させられた
"トキ”の幻影が現れ、「人間の欲望を暴走させれば,地球号そのものが同じ運命を辿ることになりますよ」と警告しているとして、人間が正しい道を進み、母船を守る事が出来ますようにと,黄道上に現れた春の神・青竜に祈る作ですが、さらに午年の守護仏・勢至菩薩と、それと対をなす子年の守護仏・千手観音菩薩の梵字を雲のようにデフォルメして地球の両極上になびかせ、地球の守りを願いました。
古代バビロニアの黄道十二宮、古代中国の四神説、古代インドの仏教に端を発する八尊仏、いずれを紐解いても紀元前のはるか昔から,人々は太陽の恵みに感謝しながら、この世の無事存続と幸せを願い,祈りを捧げて来たのだと痛感させられ、人間が野放途になり過ぎ,強欲を暴走させ掛け替えの無い地球を滅ぼすことが無いようにとこの作を刷り上げました。
上右の作品
<朱雀の風 1>
(65×50cm) 2005年作
2005年
朱葉会秋季展
2006年
第11回OASIS展
2006年
ル・サロン展
「ART MAISON INTERNATIONAL
Vol.11」収録
2007年
7th Ecology Earth Art
(埼玉県立近代美術館)
2007年
MINERVA展(ランドマークホール)
「AWARD OF MINERVA2007」受賞
「MINERVA2007 現代女性芸術
作品集」収録・・皇室献本
2010年
「LOVE in ACTION
The story of
MOTHER TERESA」
(マザー・テレサ伝記)の
表紙に採用され、バチカン法
王庁を始め世界に配布される。
「WPA国際親善芸術賞」受賞
キトラ古墳は、日本の古代、7世紀末頃に築かれたらしいと云われていますが、その内室の東西南北の壁には、夫々の方位の守護神、即ち東の青龍、西の白虎、南の朱雀、北の玄武という四獣神が描かれ、天井には赤道、黄道、内規,外規の四つの円と、多くの星座からなる天文図が描かれています。
これら四獣神と天文図は、中国、高句麗にも見られ、アジア大陸の東部の古代の宇宙観が日本にも伝わっていたことが分かります。ところがその貴重な文化遺産が描かれている古墳の壁にカビがはえ、壁画の保存に関して、難問が生じています。
そこで、東アジアの古代の宇宙観という文化を後世に伝えようと、21世紀の現代都市・横浜の南の海上に、南の守護神・朱雀を描きました。
因みに、朱雀が飛んでいる下に描かれた円弧は、西洋の古代の宇宙観を表す黄道十二宮です。私達が自らの生命を委ねる地球号は、今も昔と変わらず、太陽の恵みの基に活かされているのですから、東洋と西洋の古代の宇宙観を融合させることで、世界は一つ、是非世界平和をという私の願いを表しています。
海の幸に感謝しながら、世界に門戸を開き、全世界の平和を求める横浜に、朱雀が”寿”(漢字の古い字体・篆書体)の風を送っています。
下左の作品
<母船・地球号の守り3>
(65×50cm) 2010年作
2010年
第89回朱葉会展
2010年
日本芸術の先駆者たち2
(クオリア銀座画廊展)
2012年フランス芸術最高勲章
2012年 「美術の杜Vol.28」に掲載
2012年 「日本芸術の創跡Vol.16」
に掲載
地球環境の保全を祈る「四神シリーズ」の第二弾・白虎の作です。
21世紀初頭の人間は,化石燃料の大量消費によってもたらされた諸々の問題に対処しようとクリーンエネルギーの確保を始め様々な方法を試み、生命体の母船・地球号を守ろうとしています。それでその努力が報われますようにと、黄道上に現れた秋の神・白虎と,羊・申年生まれの人の守護仏・大日如来と、丑・寅年生まれの人の守護仏・虚空蔵菩薩(地球の両極上にたなびく雲は,守護仏の梵字をデフォルメしたもの)とに祈る作です。
経済活動も社会組織もいろいろな歪みが生じ、地域社会も国も世界も内側から徐々に崩壊しているような感じで、”安心な生活”はだんだん遠のいて行くような気がします。それだけにも一度自然との調和に心致し,人間は太陽の恵みによって活かされている一自然物に過ぎないことを肝に銘じて、行動しなければと思うのです。
下右の作品
<玄武の風>
(65×50cm) 2008年作
2008年
第87回朱葉会展
2008年
美術評論とともに観る美術展
2009年
「A.M.S.Cスペイン芸術顕彰賞」受賞
「ART MAISON INTERNATIONAL
Vol.14」収録
2009年
日中祥慶展(中国)
「青龍の風」、「朱雀の風」、「白虎の風」を制作し、東洋と西洋の宇宙観,四神説と黄道十二宮とを融合させ,世界平和への願いを表明して来ましたが,今回は四神シリーズの仕上げとして、北の守護神 を取り上げ、「玄武の風」を制作しました。
日本の中世には、既に優れた抽象芸術・枯山水の庭が造られています。掃き目の付いた砂で大海原を、数個の岩で,神仙が住むという理想郷・鳳来山が有ると云われる”亀”の形をした島を表現した庭です。
一方で,北の守護神・玄武は、蛇が巻き付いた黒色の”亀”と云われていますから、この想念の中での理想郷・枯山水の上空にこそ玄武をとイメージが湧き上がって来ました。
南の朱雀が夏,東の青龍が春、西の白虎が秋ですから,玄武の季節は冬です。したがって雪景色の枯山水の上空に黄道十二宮がかかり、そこに玄武が現れて、”寿”の風を送っている図となりました。
我々生命体の母船・地球号の環境が著しく損なわれ、世界のあちこちで紛争が絶えない今日,世界の平和と,世界の人々の幸せを心から願わずにはいられません。
<青龍の風 1>
(65×50cm) 2006年作
2006年
第86回朱葉会展
2007年
SIRIUS展(東京芸術劇場)
2007年
ル・サロン展
「ART MAISON INTER NATIONAL
Vol.12」収録
2008年
第13回OASIS展(日仏協同展)
(大阪、パリ)
「マジャンタ賞」 受賞
2010年
「日本芸術の創跡2010」収録
古代中国の天文学者は太陽の通り道・黄道の周りに28の星座を思い描き、それらを四等分した7つづつの星座を東西南北の守護神、青龍、白虎、朱雀、玄武が守り治めていると云う宇宙観(四神説)を持っていました。
青龍の下に描かれている円弧は、黄道十二宮で、古代バビロニアから古代エジプト、古代ギリシャを経て欧州に伝わった西方の宇宙観です。
私達が自らの生命を委ねる地球号は、今も昔と変わらず、太陽の恵みのもとに活かされているのですから、古代の東洋と西洋の宇宙観、四神説と黄道十二宮を融合させた空間を作り、世界は一つという世界平和への私の願いを先ず表明しました。
さて今回の舞台は、私が18歳まで暮らした飛騨高山の山王祭りです。
飛騨高山市の東には乗鞍、焼岳、穂高、槍などの峯峯が聳え立ち、霊気を放っています。その霊気に包まれて飛騨人たちは育まれ、大地の恵みに感謝しながら暮らすのですが、その有り難さを、今回はその霊気の中から東の守護神・青龍が現れ、飛騨高山の春祭りに”寿”の風(金色に光ってたなびく風は全て寿という字の篆書体)を吹き送っている図で表現してみました。
真ん中の屋台はかの有名な龍神台(絡繰り人形の唐子が持って出た壷の中から龍神が飛び出す)です。青龍との関係で取り上げてみました。
世界の皆さんに平和と幸せが訪れますように!そして生命体の母船・地球号がいつまでも無事でありますように!
右の作品
<アンデス文明の譜4>
(50/65cm)2003年作
2003年
第83回朱葉会展(会員に推挙される)
ナスカの地上絵とインカ帝国時代の綴織りの模様をモティーフとした作です。
ナスカ文化からインカ文化へ至る長い年月の間を、太陽神に祈りを捧げながら、アンデス山脈の自然に見事に適応して来た原住民の末裔たちに幸多かれと祈り、また同時に日本、世界共に2003年は暗い年明けでしたから、少しでも明るい展望が開かれますようにとの祈りを込めて年頭に刷り上げました。
左の作品
<四神の風>
(100×74cm) 2005年作
2005年
第85回朱葉会記念展
2005年
5th Ecology Earth Art
(埼県立近代美術館)
2005年
「アート・マインド」
2005秋季号掲載
2008年
京都・パリ友情盟約締結
50周年記念展
「優秀作家賞」受賞
昨年チェコのプラハで、天動説に基づいて造られたという見事な大時計に出会いました。その時計は単に時刻を告げるだけでなく、太陽や月の運行も示すプラネタリウムだという解説に興味を覚え、よく見ると確かに黄道十二宮が文字盤の上に有りましたので、帰国後その歴史を辿ると、ギリシャ、エジプトを経て古代バビロニアの天文学に行き着きました。その一方で古代中国の天文学は、朝鮮を経て日本にも伝わり、高松塚古墳やキトラ古墳の天井画・天文図(黄道、28の星座など)を生み出している事を知り、非常に驚きました。キトラ古墳の天文図は東アジアで現存する最古のものとの事です。
キトラ古墳には、この天文図のほかに十二支、四神も描かれていますが、その四神が20世紀の空気に触れた為に、劣化が始まり、如何に保全するかという問題が起きました。新聞の記事をルーペで丹念に見ますと、四神の表情、肢体のうねり、緊張した足や爪の描写が実に素晴らしく、東アジアの貴重な文化遺産であるこれら四神をカビの餌食にして滅びさせてはいけないと思い、僭越この上ないのですが、せめて私の拙い絵の中に、そのお姿を留めおこうと、21世紀の港横浜の東西南北の守り神として登場して頂きました。
日没直後のビル群の上空に西の守護神・白虎が現れ、海から昇った赤みを帯びた月を背に南の守護神・朱雀が現れ、ベイブリッジ,つばさ橋がライトアップされた港湾に東の守護神・青龍と北の守護神・玄武が現れ、横浜の長久と無事を祈って風を巻き起こてしいますが、その風は、"寿"と云う字の篆書という古い字体が風のようになびいているものです。
この絵には、異なる三種の時間帯、即ち横浜の日没後から夜更けにかけての時の流れ、キトラ古墳から21世紀にかけての日本の時の流れ、それらを包含する大宇宙の悠久の時の流れの三種が組み込まれています。この絵が、その重層する時間帯の中で、人の営みの何たるかを考える便(よすが)になれば幸いと思います。
代情(よせ)房子さんの作品をテーマ別に分類すると、
地球の来歴から行く末を想う「生々流転シリーズ」
地球の裏側からペルーの方々へエールを送る「アンデス文明シリーズ」
世界平和を祈る「四神シリーズ」
地球環境保全を祈る「母船・地球号の守りシリーズ」です。
今回の個展では代情房子さんの初期の「生々流転シリーズ」が見当たらなかったので、1つ掲載します
<生々流転No.15>
(70/48cm)1995年作
1995年
72回春陽展
2008年
「エネルギーと環境の疑問
Q&A50」笠原三紀夫著の
表紙に採用される。
カナダ旅行で買って来たアンモナイトの化石を手の平に乗せ、悠久の時の流れの中でアンモナイト類が生まれ滅ぶまでに占めた時間と人間のそれとではどちらが長いだろうと考えてみました。
人間が滅ぶなんて縁起でもない!そんなことは口にするものでないと叱られそうですね。でも世界の不安定要素が増して来ているようで、そしてその流れの方向を変えることは自分には出来そうもにないと思われて、苦しくなることがあります。
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