「万引き家族」の話は自分でも長くなりすぎだと思う。実は鑑賞条件が良くなかったのでまた見たい。ロケ地の散歩なども含めて、後で書き直したいと思う。ところで、26日に永井愛さん主宰の二兎社42回公演「ザ・空気ver.2」を見た。7月16日まで。池袋の東京芸術劇場シアターイースト。今日は簡単に書きたいと思う。何しろ1時間45分の上演時間で、お芝居としてはすごく短い。ワンテーマにしぼった凝縮された傑作だ。これはすごいと思った。
前作「ザ・空気」はテレビ局の報道番組を題材に、現場を支配する「空気」を描いた。前作はマスコミのあり方、ジャーナリストの生き方などに広がっていったが、今回の「ザ・空気ver.2」はテーマを絞っている。マスコミと政権の癒着、大マスコミとネットメディアの二つである。永井愛作品はずいぶん見てるけど、ここまでうまく出来てるのも少ないと思う。最初から最後までゲラゲラ笑い通し。こんなに笑える劇も久しぶりだが、「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」(芭蕉)である。
国会記者会館の屋上。そこから国会デモを撮影しようと「ビデオジャーナリスト・ネットテレビ局「アワ・タイムズ」代表」の井原(安田成美)が忍び込んでいる。国会記者会館屋上を記者クラブに所属しないメディアが利用できるか。これは実際に裁判になった。そこに「リベラル系全国紙政治部記者・官邸キャップ」の及川(眞島秀和)と「大手放送局政治部記者・解説委員」の秋月(馬渕英里何)がやってくる。今日記者クラブのコピー機からトンデモナイものが発見された。総理の記者会見のQ&Aを記者側が作っていた証拠である。人物の肩書は公演パンフにある通り。
その文書を見つけてしまったのは「保守系全国紙政治部記者・官邸総理番」の小林(柳下大)である。「政権ベッタリ」と言われる中で志をまだ失っていない若い小林は、自社の上役が絡んでいるのではと疑う。会見で追及する方のマスコミが追及の逃れ方を指南するのはさすがにまずい…と思って、あえてライバル社の官邸キャップに相談したのである。一方、及川は秋月の関与も疑い、事前に呼び出して話を聞く。そこに一番疑わしい「保守系全国紙論説委員・コラムニスト」の飯塚(松尾貴史)もやってくる。総理とよく食事するから「メシ塚」と呼ばれている男だ。
この5人だけで話が進むが、ずいぶん作劇術がうまい。それは現実の風刺だからとも言える。メシ塚さんのケータイは呼び出し音が10種類もあるという。どうやら「ゴルゴ13」が「副総理」。マンガが趣味の方である。「ドンパン節」は官房長官の故郷の民謡だ。「救急車」が総理秘書官で、「パトカー」が総理本人らしい。飯塚と秋月が話していると、どうやら二人ともQ&Aを作っているらしい。飯塚は絶対に認めてはならない派、秋月は国民がウソと思ってることは潔く認めてしまって謝罪するべき派らしい。おかしいけど、だんだん笑ってていいのかと思う。
最近スクープを連発して政権に打撃を与えた全国紙は明らかに朝日新聞。「政権べったり」全国紙は読売新聞。公共放送はNHKだから、政治部の女性解説委員と言えばあの人か。しかし、この大マスコミはネットメディアの「アワ・タイムズ」に対しては、記者クラブ入会の有無によって、団結して排除する側にいる。これがこの劇の一番重大なところで、ここをどう見るか。このすぐれたドラマに大マスコミしか出て来なかったら、もう絶望しか覚えない。だがもう一つ、別の可能性を安田成美の軽やかな名演で示している。こんな笑えるドラマも珍しいけど、もうすぐ国民は飽きるし、支持率は回復するとセリフで言われると、まさに図星であるから深刻だ。
前作「ザ・空気」はテレビ局の報道番組を題材に、現場を支配する「空気」を描いた。前作はマスコミのあり方、ジャーナリストの生き方などに広がっていったが、今回の「ザ・空気ver.2」はテーマを絞っている。マスコミと政権の癒着、大マスコミとネットメディアの二つである。永井愛作品はずいぶん見てるけど、ここまでうまく出来てるのも少ないと思う。最初から最後までゲラゲラ笑い通し。こんなに笑える劇も久しぶりだが、「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」(芭蕉)である。
国会記者会館の屋上。そこから国会デモを撮影しようと「ビデオジャーナリスト・ネットテレビ局「アワ・タイムズ」代表」の井原(安田成美)が忍び込んでいる。国会記者会館屋上を記者クラブに所属しないメディアが利用できるか。これは実際に裁判になった。そこに「リベラル系全国紙政治部記者・官邸キャップ」の及川(眞島秀和)と「大手放送局政治部記者・解説委員」の秋月(馬渕英里何)がやってくる。今日記者クラブのコピー機からトンデモナイものが発見された。総理の記者会見のQ&Aを記者側が作っていた証拠である。人物の肩書は公演パンフにある通り。
その文書を見つけてしまったのは「保守系全国紙政治部記者・官邸総理番」の小林(柳下大)である。「政権ベッタリ」と言われる中で志をまだ失っていない若い小林は、自社の上役が絡んでいるのではと疑う。会見で追及する方のマスコミが追及の逃れ方を指南するのはさすがにまずい…と思って、あえてライバル社の官邸キャップに相談したのである。一方、及川は秋月の関与も疑い、事前に呼び出して話を聞く。そこに一番疑わしい「保守系全国紙論説委員・コラムニスト」の飯塚(松尾貴史)もやってくる。総理とよく食事するから「メシ塚」と呼ばれている男だ。
この5人だけで話が進むが、ずいぶん作劇術がうまい。それは現実の風刺だからとも言える。メシ塚さんのケータイは呼び出し音が10種類もあるという。どうやら「ゴルゴ13」が「副総理」。マンガが趣味の方である。「ドンパン節」は官房長官の故郷の民謡だ。「救急車」が総理秘書官で、「パトカー」が総理本人らしい。飯塚と秋月が話していると、どうやら二人ともQ&Aを作っているらしい。飯塚は絶対に認めてはならない派、秋月は国民がウソと思ってることは潔く認めてしまって謝罪するべき派らしい。おかしいけど、だんだん笑ってていいのかと思う。
最近スクープを連発して政権に打撃を与えた全国紙は明らかに朝日新聞。「政権べったり」全国紙は読売新聞。公共放送はNHKだから、政治部の女性解説委員と言えばあの人か。しかし、この大マスコミはネットメディアの「アワ・タイムズ」に対しては、記者クラブ入会の有無によって、団結して排除する側にいる。これがこの劇の一番重大なところで、ここをどう見るか。このすぐれたドラマに大マスコミしか出て来なかったら、もう絶望しか覚えない。だがもう一つ、別の可能性を安田成美の軽やかな名演で示している。こんな笑えるドラマも珍しいけど、もうすぐ国民は飽きるし、支持率は回復するとセリフで言われると、まさに図星であるから深刻だ。