港区立郷土歴史館を見たあと、白金から目黒に下る道を10分程度、自然教育園や庭園美術館が近い。自然教育園は山手線内には珍しい昔の自然を残す場所だ。その一角に旧朝香宮邸、今の東京都立庭園美術館がある。アールデコ様式の華麗な建物は、前に多くの写真で紹介した。そこで「キスリング展」(7月7日まで)が開かれている。僕はすごく好きな画家なんだけど、あまりよく知らない。いろんな美術館で、あの絵いいなと思うとキスリングだった。だから気になるんだけど、まとまったキスリング展は一度も行ったことがない。この機会に是非見てみたいと思ってたら、もう会期末が近いじゃないか。
今回一番驚いたのは、チラシにも使われている絵だ。題名は『ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)』。それだけじゃ判らないけど、解説を読んだらこの絵のモデルはコレットの娘だった。この間読んで記事を書いたフランスの女性作家コレットである。その一人娘は映画などに関わっていたとある。この絵を見て、妻は伊勢丹の袋だと言った。今調べると、現在は変わっている。紙袋の旧デザインを探してみると、2枚目の写真。うーん、確かに似ている!
モイズ・キスリング(1891~1953)はポーランドのクラクフで生まれたユダヤ人である。フランスで活躍した「エコール・ド・パリ」派の画家だし、名前だけだと日本人には判りにくい。今まで知らなかったけど、ポーランド生まれだったのか。だからこそ、色彩にあふれた音楽のような美しい絵を書き続けたのか。画題は花や果物が多い。裸婦や肖像画、風景画ももちろん多いが、印象に残るのは様々な色だ。
『サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)』
『サン・トロペでの昼寝』と題される絵はその代表。コートダジュールの幸福と倦怠感が画面いっぱいから伝わってくる。花の絵も色彩にあふれていて、見ていて楽しい。エコール・ド・パリはモディリアーニ、ユトリロなど破滅的、悲劇的なイメージがあるが、キスリングはちょっと違う。パリへ来て、キュビスムやフォーヴィズムに触れいろいろな影響を受けたが、次第に描き方は古典に回帰していったという。だけど、ポーランドのユダヤ人出身ということで、第二次大戦中はアメリカに亡命している。画面上はあまりそういう不安を感じさせないけど、やはり20世紀の悲劇を背負っている。
上の絵は『モンパルナスのキキ』。このモデル女性はパリの最底辺を生きて、10代でカフェの歌手、モデルとなった女性である。モディリアーニ、ユトリロ、藤田のモデルとしても有名で、写真家・映画作家のマン・レイの愛人でもあった。本名はアリス・プラン。この絵でも赤と青の色彩が心に残る。
庭園美術館は庭も素晴らしいが、洋風庭園の奥に日本庭園と茶室がある。今まで未公開だったように思うんだけど、今日歩いていたら開いていた。この茶室も重要文化財。
4枚目の写真、庭の池には緋鯉がいっぱい。木陰の中に赤がくっきり。最近はまさに梅雨という感じの天気が続き、庭園美術館もなんかどんよりしていた。それはそれで趣もある。
今回一番驚いたのは、チラシにも使われている絵だ。題名は『ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)』。それだけじゃ判らないけど、解説を読んだらこの絵のモデルはコレットの娘だった。この間読んで記事を書いたフランスの女性作家コレットである。その一人娘は映画などに関わっていたとある。この絵を見て、妻は伊勢丹の袋だと言った。今調べると、現在は変わっている。紙袋の旧デザインを探してみると、2枚目の写真。うーん、確かに似ている!
モイズ・キスリング(1891~1953)はポーランドのクラクフで生まれたユダヤ人である。フランスで活躍した「エコール・ド・パリ」派の画家だし、名前だけだと日本人には判りにくい。今まで知らなかったけど、ポーランド生まれだったのか。だからこそ、色彩にあふれた音楽のような美しい絵を書き続けたのか。画題は花や果物が多い。裸婦や肖像画、風景画ももちろん多いが、印象に残るのは様々な色だ。
『サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)』
『サン・トロペでの昼寝』と題される絵はその代表。コートダジュールの幸福と倦怠感が画面いっぱいから伝わってくる。花の絵も色彩にあふれていて、見ていて楽しい。エコール・ド・パリはモディリアーニ、ユトリロなど破滅的、悲劇的なイメージがあるが、キスリングはちょっと違う。パリへ来て、キュビスムやフォーヴィズムに触れいろいろな影響を受けたが、次第に描き方は古典に回帰していったという。だけど、ポーランドのユダヤ人出身ということで、第二次大戦中はアメリカに亡命している。画面上はあまりそういう不安を感じさせないけど、やはり20世紀の悲劇を背負っている。
上の絵は『モンパルナスのキキ』。このモデル女性はパリの最底辺を生きて、10代でカフェの歌手、モデルとなった女性である。モディリアーニ、ユトリロ、藤田のモデルとしても有名で、写真家・映画作家のマン・レイの愛人でもあった。本名はアリス・プラン。この絵でも赤と青の色彩が心に残る。
庭園美術館は庭も素晴らしいが、洋風庭園の奥に日本庭園と茶室がある。今まで未公開だったように思うんだけど、今日歩いていたら開いていた。この茶室も重要文化財。
4枚目の写真、庭の池には緋鯉がいっぱい。木陰の中に赤がくっきり。最近はまさに梅雨という感じの天気が続き、庭園美術館もなんかどんよりしていた。それはそれで趣もある。