俳優の高島忠夫が6月28日に死去した。88歳。高島忠夫はよくテレビに出ていて、テレビの印象が強いけど、もともとは「新東宝」の「ニューフェース」(新人俳優の公募)だった。だからたくさんの映画に出ているけれど、東宝に移籍してミュージカル俳優として開花した。舞台の「マイ・フェア・レディ」が評判になったが、もちろんそれは話でしか知らない。日本製ミュージカル映画の傑作「君も出世ができる」に当時の様子が残されている。「嵐を呼ぶ楽団」(1960)もいいなと思う。「がめつい奴」(1960)は舞台で評判になった三益愛子、子役の中山千夏と同じキャストで映画化されている。
1963年に宝塚のトップスターだった寿美花代(すみ・はなよ)と結婚して「おしどり夫婦」として知られた。1964年には長男が17歳の家政婦に殺害される事件が起こった。有名だけど、僕は9歳だから同時代の記憶はない。その後、芸能界で活躍する次男、三男が生まれたが、当然夫婦には大きな傷が残っただろう。それを隠すように、生来の明朗快活や役柄そのままに夫婦でテレビの料理番組「ごちそうさま」などで共演していた。高齢になって「うつ病」を発症したのも判るような気がする。病気を家族とともに乗り越えてうつ病への啓発活動を行った。そういう晩年を送ったことも忘れられない。
作家の田辺聖子が6月6日に死去、91歳。女性作家は長命である。文化勲章を受賞しているけれど、僕は芥川賞受賞作品「感傷旅行」(センチメンタル・ジャーニー)しか読んでない。軽妙なエッセイなんかは、新聞や週刊誌で時々読んだ気もするが、ちゃんとした単行本を読んでない。関西で活躍し、恋愛小説や日本の古典に基づく小説が多いから、どうも縁遠いままになっている。だからあまり書くことがない。きっと面白い作品がいっぱいあるんだろうなと思うが、読む日がくるかどうか。
作詞家の千家和也(せんけ・かずや)が13日に死去、73歳。奥村チヨが歌った「終着駅」でレコード大賞作詞賞。麻丘めぐみ「私の彼は左きき」、キャンディーズ「年下の男の子」、山口百恵「ひと夏の体験」など70年代アイドルの歌をたくさん手がけている。「そういう歌もありか」と多くの人に知らしめたのは功績だ。演歌系ではメガヒットを記録した殿様キングス「なみだの操」や内山田洋とクールファイブの「そして、神戸」など。僕が好きだったのは、三善英史「雨」や平浩二「バス・ストップ」などである。
(千家和也)
・石坂照子、4日死去、92歳。免疫学者で、夫の石坂公成とともに研究し、アレルギーの仕組みを解明した。
・14代沈壽官(ちん・じゅかん)、16日死去、92歳。薩摩焼宗家で、司馬遼太郎「故郷忘じがたく候」の主人公。薩摩焼はもともと豊臣秀吉の朝鮮侵略の際、島津家が連行した朝鮮陶工が始まり。日韓親善活動にも貢献した。
・菅谷文則、18日死去、76歳。考古学者、前橿原考古学研究所所長。
・小池和男、18日死去、86歳。労働経済学者。文化功労者。「地的熟練が日本の競争力を支えている」と論証。
・松本善明(まつもと・ぜんめい)が24日死去、93歳。共産党の衆議院議員としてロッキード事件などで鋭く追及した。弁護士として松川事件などを担当、67年に旧東京4区で初当選し、2003年まで11期当選。国対委員長を長く務め知名度が高かった。画家のいわさきちひろの夫としても知られる。
(沈壽官) (松本善明)
前エジプト大統領のムハンマド・ムルシが法廷で倒れてそのまま亡くなった。2011年のエジプト民主化を受けて、2012年に選挙で当選した。しかし、その選挙ではムスリム同胞団系の有力者は立候補が認められず、ムルシは有力者ではなかった。政権運営は宗教色が濃く、反大統領デモが起こり軍によるクーデタで失脚した。以後はずっと拘束され、刑事裁判で死刑が宣告されたものの破棄されて審理が続いていた。拘禁中の処遇には疑念が寄せられている。
(ムルシ)
・金大中元韓国大統領の妻、李姫鎬(イ・ヒホ)が10日に死去、95歳。夫ともに韓国民主化運動を支えた。
・グロリア・ヴァンダービルト、17日死去、95歳。アメリカのデザイナーで、70年代、80年代のニューヨーク社交界の象徴的人物だという。レオポルド・ストコフスキー(指揮者)やシドニー・ルメット(映画監督)など4回の結婚をした。カポーティの「ティファニーで朝食を」のモデルとも言われているそうだ。
(イ・ヒホ)(若き日のヴァンダービルド)
1963年に宝塚のトップスターだった寿美花代(すみ・はなよ)と結婚して「おしどり夫婦」として知られた。1964年には長男が17歳の家政婦に殺害される事件が起こった。有名だけど、僕は9歳だから同時代の記憶はない。その後、芸能界で活躍する次男、三男が生まれたが、当然夫婦には大きな傷が残っただろう。それを隠すように、生来の明朗快活や役柄そのままに夫婦でテレビの料理番組「ごちそうさま」などで共演していた。高齢になって「うつ病」を発症したのも判るような気がする。病気を家族とともに乗り越えてうつ病への啓発活動を行った。そういう晩年を送ったことも忘れられない。
作家の田辺聖子が6月6日に死去、91歳。女性作家は長命である。文化勲章を受賞しているけれど、僕は芥川賞受賞作品「感傷旅行」(センチメンタル・ジャーニー)しか読んでない。軽妙なエッセイなんかは、新聞や週刊誌で時々読んだ気もするが、ちゃんとした単行本を読んでない。関西で活躍し、恋愛小説や日本の古典に基づく小説が多いから、どうも縁遠いままになっている。だからあまり書くことがない。きっと面白い作品がいっぱいあるんだろうなと思うが、読む日がくるかどうか。
作詞家の千家和也(せんけ・かずや)が13日に死去、73歳。奥村チヨが歌った「終着駅」でレコード大賞作詞賞。麻丘めぐみ「私の彼は左きき」、キャンディーズ「年下の男の子」、山口百恵「ひと夏の体験」など70年代アイドルの歌をたくさん手がけている。「そういう歌もありか」と多くの人に知らしめたのは功績だ。演歌系ではメガヒットを記録した殿様キングス「なみだの操」や内山田洋とクールファイブの「そして、神戸」など。僕が好きだったのは、三善英史「雨」や平浩二「バス・ストップ」などである。
(千家和也)
・石坂照子、4日死去、92歳。免疫学者で、夫の石坂公成とともに研究し、アレルギーの仕組みを解明した。
・14代沈壽官(ちん・じゅかん)、16日死去、92歳。薩摩焼宗家で、司馬遼太郎「故郷忘じがたく候」の主人公。薩摩焼はもともと豊臣秀吉の朝鮮侵略の際、島津家が連行した朝鮮陶工が始まり。日韓親善活動にも貢献した。
・菅谷文則、18日死去、76歳。考古学者、前橿原考古学研究所所長。
・小池和男、18日死去、86歳。労働経済学者。文化功労者。「地的熟練が日本の競争力を支えている」と論証。
・松本善明(まつもと・ぜんめい)が24日死去、93歳。共産党の衆議院議員としてロッキード事件などで鋭く追及した。弁護士として松川事件などを担当、67年に旧東京4区で初当選し、2003年まで11期当選。国対委員長を長く務め知名度が高かった。画家のいわさきちひろの夫としても知られる。
(沈壽官) (松本善明)
前エジプト大統領のムハンマド・ムルシが法廷で倒れてそのまま亡くなった。2011年のエジプト民主化を受けて、2012年に選挙で当選した。しかし、その選挙ではムスリム同胞団系の有力者は立候補が認められず、ムルシは有力者ではなかった。政権運営は宗教色が濃く、反大統領デモが起こり軍によるクーデタで失脚した。以後はずっと拘束され、刑事裁判で死刑が宣告されたものの破棄されて審理が続いていた。拘禁中の処遇には疑念が寄せられている。
(ムルシ)
・金大中元韓国大統領の妻、李姫鎬(イ・ヒホ)が10日に死去、95歳。夫ともに韓国民主化運動を支えた。
・グロリア・ヴァンダービルト、17日死去、95歳。アメリカのデザイナーで、70年代、80年代のニューヨーク社交界の象徴的人物だという。レオポルド・ストコフスキー(指揮者)やシドニー・ルメット(映画監督)など4回の結婚をした。カポーティの「ティファニーで朝食を」のモデルとも言われているそうだ。
(イ・ヒホ)(若き日のヴァンダービルド)