「ファントム・スレッド」と同じ日に、「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」という映画も見た。出来栄えは今ひとつのところが多いけど、内容と作り方はすごく面白い。フロリダ州にある「ディズニー・ワールド」の近くにある安いモーテルを舞台に、シングルマザーと子どもたちの「貧困」を見つめる。「夢の国」と隣り合わせの厳しい現実である。その中で苦闘するモーテルの管理人ボビーを演じたウィレム・デフォーがアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
さすがフロリダだからか、原色の夏色に画面が彩られている。壁が紫色のモーテルだから、一種おとぎの国っぽいけど、実は安宿。それなのに「マジック・キングダム・キャッスル」とか名乗ってて、高級リゾートかと思って予約してしまう人もいる。そこが貧困者向けになってるのはおかしいけど、家を失った人でも観光客のふりして泊ることはできる。住居にしてはいけないと散々言われているけど、事実上住みついて宿泊費を工面して生きている。そんな様子が描かれている。
その中を生き生きと走り回るのは、夏休みの子どもたち。親はともかく子どもたちは仲良い。仲はいいけど、やっていることは悪ふざけばかり。親のしつけも何のその、いたずらして回ってる悪ガキどもだ。新しい車を見れば上の階から唾を吐く。入室禁止の機械室に入り込んで電源を落としてしまい全室で停電してしまう。冒頭からそんな子どもたちのいたずらと悪態の連続。「貧しくてかわいそうな子どもたち」というのは、現実に付き合うと手に負えない無法集団である。ついには火事まで起こしてしまって、子ども同士の関係も変わってしまう。
冷房を求めてフロントに入り込む子らを、時に暖かく時に厳しく対処しているのがボビーである。だが彼も雇われ人に過ぎない。無料の食料配布車がやってくれば、裏へ回ってと言うしかない。親には一週間分の宿泊費を督促するのが仕事である。親の中には、時には安く仕入れた香水を遊園地に来る客に売りつけて稼いだりしている。だんだん追い詰められて、スマホで自撮りした写真で誘って客を求めるようになり…。児童福祉局がやってきて親子は引き離されるのか。楽園の裏にある現実の厳しさを直視している映画だが、子どもの目からはそれは判らない。知らなければ自分たちが貧しいことも認識できない。楽しい遊園地に忍び込める楽しい夏休み。
監督のショーン・ベイカーは「タンジェリン」(未見)というiPhoneで撮影した映画で注目された。この映画は35ミリフィルムで撮影されたという。しかし最後に子どもたちがディズニーワールドを駆け回るシーンは、スマホで隠し撮りしたもの。この映画は6歳の子どもたちの目で、夢の国の表裏を表わすというアイディアが面白い。「貧困」が人々の連帯をむしばむ様をリアルに描いている。でもそれ以上にフロリダという風土が印象的。3枚目の写真にあるように、真夏の空を雲を広角で撮った画面を見ていると、足元の問題を忘れていたずらして回りたくなってしまう。
さすがフロリダだからか、原色の夏色に画面が彩られている。壁が紫色のモーテルだから、一種おとぎの国っぽいけど、実は安宿。それなのに「マジック・キングダム・キャッスル」とか名乗ってて、高級リゾートかと思って予約してしまう人もいる。そこが貧困者向けになってるのはおかしいけど、家を失った人でも観光客のふりして泊ることはできる。住居にしてはいけないと散々言われているけど、事実上住みついて宿泊費を工面して生きている。そんな様子が描かれている。
その中を生き生きと走り回るのは、夏休みの子どもたち。親はともかく子どもたちは仲良い。仲はいいけど、やっていることは悪ふざけばかり。親のしつけも何のその、いたずらして回ってる悪ガキどもだ。新しい車を見れば上の階から唾を吐く。入室禁止の機械室に入り込んで電源を落としてしまい全室で停電してしまう。冒頭からそんな子どもたちのいたずらと悪態の連続。「貧しくてかわいそうな子どもたち」というのは、現実に付き合うと手に負えない無法集団である。ついには火事まで起こしてしまって、子ども同士の関係も変わってしまう。
冷房を求めてフロントに入り込む子らを、時に暖かく時に厳しく対処しているのがボビーである。だが彼も雇われ人に過ぎない。無料の食料配布車がやってくれば、裏へ回ってと言うしかない。親には一週間分の宿泊費を督促するのが仕事である。親の中には、時には安く仕入れた香水を遊園地に来る客に売りつけて稼いだりしている。だんだん追い詰められて、スマホで自撮りした写真で誘って客を求めるようになり…。児童福祉局がやってきて親子は引き離されるのか。楽園の裏にある現実の厳しさを直視している映画だが、子どもの目からはそれは判らない。知らなければ自分たちが貧しいことも認識できない。楽しい遊園地に忍び込める楽しい夏休み。
監督のショーン・ベイカーは「タンジェリン」(未見)というiPhoneで撮影した映画で注目された。この映画は35ミリフィルムで撮影されたという。しかし最後に子どもたちがディズニーワールドを駆け回るシーンは、スマホで隠し撮りしたもの。この映画は6歳の子どもたちの目で、夢の国の表裏を表わすというアイディアが面白い。「貧困」が人々の連帯をむしばむ様をリアルに描いている。でもそれ以上にフロリダという風土が印象的。3枚目の写真にあるように、真夏の空を雲を広角で撮った画面を見ていると、足元の問題を忘れていたずらして回りたくなってしまう。