星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

妄想と、、煩悩と、、だけど笑顔で、ね。

2006-11-18 | 映画にまつわるあれこれ
駅の構内にたくさん貼ってある
新ジェームズ・ボンド=ダニエル・クレイグの写真が素敵。
キャストについていろいろ言われましたが、
色気が溢れ返ってる人より、一見クールな新ボンドが私は好きよ。
、、それに、、着痩せするダニエルは時に、…(!)…な程、色っぽいと思うし。。

 ***

今日見たのでも、最近見たのでもない映画の話を。

ここで度々お名前を出してるjazzピアノのブラッド・メルドーさん。
メルドーさんのピアノを初めて知ったのがこの映画『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』でした。

ママン(バーキン)はいつも憧れの人でしたが、シャルロットは余りに可愛すぎて、彼女の映画って一度も見たこと無かったのです。どうしてコレ観たんだっけ、、あ、、テレンス・スタンプ目当てだったのね。。この映画は邦題のとおり、実物そのままの女優のシャルロットを妻に持つ、イヴァン(スポーツ記者の役)の、超有名人の夫ゆえの苦悩や嫉妬をコミカルに描いた映画。

新作の映画の撮影がロンドンで行われることになって、シャルロットの相手役が、プレイボーイで名高い俳優(テレンス・スタンプ)。時間待ちの間、「寒くないかい?」とか言ってシャルロットの肩を思わせぶりに摩ったりする、すっかりジィさんになったテレンスが適任(笑)。そしてまた、シャルロットが、いつのまにか大人の女性になってたとは言え、子馬のような長い手足、ママン譲りの大きな前歯をちらとのぞかせた、少年みたいなあどけない表情で、、それがじつに可愛くて、、こんな可愛らしい妻では、心配なのもよぉ~く解るわ、イヴァン。。

で、、この映画の音楽を担当したのがブラッド・メルドーさんでした。
Amazonを見て知ったけど、書き下ろしの曲がほとんどで、メルドーさんのオリジナルのアルバムと言っても良いほど。。今、とってもこのサントラが欲しいのです。。(じゃ、買えば良いでしょ、、と簡単に注文できないのが今の事情なのよ、、)、、映画を見てて、メルドーさんのピアノ曲ももちろん素敵だったのですが、、私のツボだったのが、、奥さんの事が心配でたまらないイヴァンが、パリからロンドンへ、列車で乗り込む時に流れる、クラッシュの「ロンドン・コーリング」!!
ザ、ザ、ザ、ザ、、と鬼気迫るイントロ、、普通なら、コメディ映画にこの曲使うなんて許せない!と怒るであろう私ですが、、この時のイヴァンの切羽詰った(笑)気持ちがとってもわかるので、許しますとも。 ザ、ザ、ザ、ザ、、、が始まると、「行けぇぇぇ~っ!!!」と叫びたくなる。

余談ですが、DVDの監督コメンタリー(実の夫であるイヴァン)を見てるとね、シャルロットのこの表情がいいとか、彼女の無邪気なところを撮りたかったとか、、本編以上のお惚気が聞けて、、面白いですよ。

 ***

そして、イヴァン&シャルロットによる続篇とでも言うような『フレンチなしあわせのみつけ方』。
このあいだ、何年くらい経ってるのかしら、、。今度の設定は女優じゃないけれど、シャルロットには小学生の子供がいて、イヴァンはすっかり中年の雰囲気、、顎のラインとか身体つきとかに丸みが増えて、、。男の人って変わるのね、、と妙なところに関心したりして。。

あらすじはとり立てて書くほどの事は無く、、たまには、心ときめく想いをしてみたいな~~、、と、、そう感じてしまうのは、家庭の妻も同じ、、職場の夫もまた同じ。。前作は特別なセレブの物語だったけれど、今作は、ごく普通の夫婦が3組(4組?)出てきて、、

あのね、、。有り得ないはずなのに身につまされてしまった場面といえば、、。(以下、ネタバレです)
シャルロットが、CDショップの試聴をしていると、、、隣に来て、、もうひとつのヘッドホンを耳にあてる男性、、が、ジョニー・デップ! 
ふたりで同じ曲を聴いて、、(レディオヘッドでした)
有り得ないでしょ?
、、でも、、でもね、、。

というわけで、、日常の中の、ささやかで、はてしない、そしてせつない妄想と煩悩の物語なのでした。。。

シャルロットは、やっぱり、とっても可愛かったです。。くたびれた表情も、怒った顔も見せたけど、誰よりもいちばん可愛く描かれてるもの。。なんだかんだ浮気心をつのらせても、、必要なのは、無心の笑顔、そういう心持ちかな、、。 無関心とか、諦めとか、ましてや皮肉とか、、じゃなくて、ね。パートナーに対しても、憧れの人を想うのでも。。。

 ***

明日は横浜いってきます。

『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』(CD)

『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』(DVD)

『フレンチなしあわせのみつけ方』(DVD)

ダンスホールで喧嘩も素敵。。

2006-09-23 | 映画にまつわるあれこれ
休日。
ほんとうの意味での休日。煮物が美味しく出来てちょっと幸せ。

 ***

これまで、いろいろ忙しいさなかでも、気晴らしに映画をみる時間はたまにはあって、
(DVDでしたけれど)
そんな中から、とても心に残っているふたつのお薦め作品の話を。。

まずは、出演者だけで選んだ作品。クリストファー・ウォーケン「「ラスト・マップ/真実を探して」。
私自身、どんなお話か解説もろくに読まずに見始めたのですが、それがいいと思います、この映画は。。だからここではストーリー説明もしないことにしましょう。――天邪鬼な私は、子供と動物がカギになる映画って、ついハスに見てしまう傾向がある人間なんですが、、でもここに出てくる坊や、、、すごく良かったのです。このコでないとできない<味>、、なんだか素で、、。
このコです・・・(IMDb >>
いま、写真見ていて、、別の映画もショウビズとかで見たわ、と思ったら、ゲームをやってておウチごと飛んで行く、あの映画にも出ている子なのですね。不思議ちゃんの表情が可愛いでしょ。

坊やの話はさておき、、この映画の邦題も感心しないもののひとつかもしれません。。原題は「AROUND THE BEND」といいます。辞書を引くと、ふたつの意味にとれるみたい。。心に残っている名場面はね、、最後の方のシーンで「身体をうごかす」(と表現しておきましょう)ウォーケンが素晴らしく良かったんです。そして、坊やも。。
ひとつの家族の物語。。

 ***

もうひとつは、、、。
私がめちゃめちゃ忙しい日に、TVから流れてきた歌が、、、
「Ziggy Stardust!!」、、、でも英語じゃないの!、、(もう御覧になった方はこのひと言で何の映画かお判りでしょうね)、、「何なに!?」と私、TVの前へ駆け寄っていきました、それがこの映画です、「ライフ・アクアティック」(写真)。
駆け寄っていった直後、、今度は本物のボウイの声でなんと「Life on Mars?」、、、そしたら、映画の意味もストーリーも、わけわかんないまま、その歌声とその時の<絵>に、、突然うる、、っと来てしまったのでした。。

その日は見る余裕が無かったけど、すぐにまたレンタルして来て観て、、、監督さんは、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の監督さんなのですね、ウェス・アンダーソン監督。主演はビル・マーレイ。女性では私の好きなケイト・ブランシェット。でも、「テネンバウムズ」でもグウィネスがヘンな恰好してたように、ケイトもいつも通りの美女というわけでは、、、(でも美しいんですけど)。。ほかにも「ハエ男」ジェフ・ゴールドブラムさんとか、またまた爆笑させられたウィレム・デフォーさんとか。。

絵がね、美しいの、ファンタジーなの、かわいいの。
そしてね、、みんなが素敵なの、愛らしいの、いたいけなの。

その感覚を思いっきり引き立ててくれるのが、そこかしこで歌われる、ポルトガル語のBowie70年代名曲の数々。不思議な、素敵な映画だったなあ、、、。可愛いものがいっぱい出てきたなあ。。Bowieが好きな人には特にお薦めしたいな。きっとお気に入りの映画になって貰えると思います。(前に、ボウイの原曲を使った映画で、私には嫌だったものもあったけれど)ここでは大成功だと思うし。。ボウイを使った監督さん、偉い! 

映画見た後で、、先の、思わず涙ぐんでしまった(と言っても、基本的に楽しい映画なんですが)、、「Life on Mars?」のシーンの歌詞を見てみたら、、

  「ダンスホールで喧嘩している船乗りたち、、、」

ってくだりでした。そうなの、船乗りさんたちの映画なの。
このDVDの初回限定版には、ポルトガルバーションを歌っているセウ・ジョルジュの演奏場面もあるみたいだし、CDも出ているみたいね、、CDも素敵かな~と思ったけれど、あの映像の中で聞く歌が本当に素敵でした。。 きっとまた観たくなるだろうな。

くもりぞら、、ときどき雨

2006-07-24 | 映画にまつわるあれこれ
心に残っている映画を、、

Jの悲劇(原題:enduring love)
新ジェームズ・ボンドをやることになったダニエル・クレイグの主演。彼は好きです。シルヴィアで、詩人シルヴィア・プラスの夫、テッド・ヒューズを演じていた。詩人とか今回の大学教授とかが似合いだけれど、感情が暴走する演技が好き。この映画、観るまで原作がイアン・マキューアン(『愛の続き』)だと気づかなかった。イアン・マキューアンの小説が、たくさん映画化されていることを初めて知る、、「セメント・ガーデン」の映画版は今度ぜひ観よう(今は「贖罪」が撮影中とか)。今作もそうだけれど、映画の邦題が全く違うのが余りにもヒドイと思う。今作では、イアン・マキューアンらしい日常が崩壊していく感覚、物語の導入部と物語がすっかり変わっていく感覚が良かった。ダニエル・クレイグには最も英国人らしいジェームズ・ボンドになって欲しいもの、、。

WAR REQUIEM
デレク・ジャーマン監督作品ではまだ見ていないものがいくつかある。映画の中に科白はなく、戦争詩人ウィルフレッド・オーエンの詩がナレーションとして語られ、老兵士ローレンス・オリヴィエ(これが遺作となった)や、従軍看護婦ティルダ・スウィントンや、独兵士ショーン・ビーンなどの言葉の無い演技が、第1次大戦から現在の紛争までのレクイエムとなって淡々と綴られる。ティルダ・スウィントンは今は「ナルニア国」でも有名だけれど、この映画ではどんな場面でもストップすればそのままレンブラントの絵になりそうなほど美しく、そして、デレク・ジャーマンの映像は美しいが故に痛ましい。

9SONGS
これについては以前ちらと書いた。black rebel motorcycle club のライブシーンが冒頭にある映画。彼らのLIVEで出会った男女。映画のテーマは彼ら二人のLOVEなのだけれど、監督がコメントしていた通り、映画のもうひとつのテーマはLIVE。LOVEとLIVE。だからタイトルにもある通り9つのLIVEシーンが流れる。それがダンディウォーホールズ、プライマルスクリーム、フランツフェルディナンド等、自分的に非常に解るアーティストたちで、LIVEを背景として撮影するのではなく、LIVEの歌(とその歌詞)とその場にいる二人(そしてその場のオーディエンス)の雰囲気が映画のストーリィをかたちづくっていることが、自分にとって良く解る映画になっていた。20代そこそこのある一時期でしか有り得ない熱情なのだけど、black rebel~に始まり、black rebel~で終りを告げるLOVE(その中でマイケル・ナイマンの公演が大切な記念日になっている)、、、この感覚にシンパシィを抱く人にはとてもキュートな映画だろうと思う(そうでない人にとっては唯のエロティックな映画だ)。

Again...

2006-07-02 | 映画にまつわるあれこれ
しずかな朝。
窓から入る風は、湿度をいっぱいに含んでいて、今日も蒸し暑い日になりそうだけれど、珈琲を飲みながらこれを書いている時間が嬉しい。

 ***

アヌーク・エーメな感じ、、を確認すべく、
60年代の映画『男と女』の、20年後を撮った『男と女Ⅱ』という映画を観ました。
甘酸っぱい再会のお話かと思いきや、互いの仕事の背景が絡みつつ、いろんな人物も錯綜し、かなり凝った物語になっていて楽しかったな。
ところで、、、50代になったJean-Louis Trintignant、渋い風貌なのに笑顔とか若々しく素敵。一方、Anouk Aimee、、ビジネスウーマンとしてすっと背筋の伸びた感じがクールで、、あ、、ムリ無理、、このようなシャンとした女性にはなれません。彼女のようなきりっとしたお化粧も出来ないし。。せめて、彼女の、成長した娘さん(母と瓜二つのような役柄でとても素敵な女優さんでした)な感じに多少とも近づければいいな、、、もう遅いかしらね。

この映画で、自分の恋心の強さゆえに、身勝手な行動に走る若い女性が出てくるのだけれど、その心を感じることは出来るものの、同情も共感もしない自分がいて、、それはやはり自分も年を重ねたという事。。

 ***

再会、、、の映画でこれまでに心に残っているものがいくつかある。
別に今、誰かと再会を願っている気持ちではないけれど、、何年後かに、友人やかつての恋人に逢っても、懐かしく優しい会話が出来るようでいたい、とはいつも思ってる。「50代になっても逢って話が出来るようでありたい」と、20代の頃に言われたことがあるから、それを忘れないでいるのかもしれない。

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 と ビフォア・サンセット
ジュリー・デルピーは昔から好き。女性の変貌ではなく、イーサン・ホーク演じる男性が大人になったことに結構感動。。ふたりが心の底の底を次第に投げ出すように重ねる、長い長い会話が胸に痛い。20代~30代なのかな? パリの街が美しい、9年後の再会です。

男と女 と 男と女Ⅱ、、は、20年後の再会。

もういちど、、は、最初の出会いの映画はないけれど、70代の再会(だから40年後かな?)。
Amazonのレビューにある「老婆」はひどいわ。素晴らしく美しい女優さんです。40年ぶり位の再会でも「変わらないね」だったか「昔のままだね」だったか、そんな言葉を掛けられるほど、ほとんど初々しいばかりの笑顔を見せられる女性が余りに素敵で。しばらく前に観たDVDなので、もういちど、観たいと思ってる。

、、、あ、そうそう。
ドイツの俳優さんでお気に入りのアウグスト・ディール君が、アヌーク・エーメと共演した映画があるのだけれど、日本では観られない。。 とっても残念。
アヌーク・エーメさんは、前に書いた、GO GO LAでは、デップと共によくわかんないカメオ出演をしていましたっけ。俳優さんたち憧れの女優さんなのかな?

正月休みにやっと観た、、やっと、みれた。。

2006-01-11 | 映画にまつわるあれこれ
ティム・バートン監督 『ビッグ・フィッシュ』

 ***


かつて、、、
私が、かけた言葉は、、
たったこれだけ

「・・・うん・・。」  ハハ、駄目な娘ね。。

 ***

Matthew McGrory (1973~2005)
  ありがとう。。 忘れないよ。

ピュアな暴走が好きです。

2005-12-28 | 映画にまつわるあれこれ
今年のネタは今年のうちに。。
と、、それにしてもヘンテコな映画たくさん見たなあ。
ふたりで見たもの、独りで見たもの、、もうタイトルも忘れたもの、、
これ以外にも涙した沢山の映画もありましたが、、
変わったところで。。

シックス・ストリング・サムライ
  キング・エルヴィス亡き後の荒廃した世界をロケンロールで救うべく、ヴェガスを目指す子連れギター侍。。遮る者をバッタバッタと斬り倒し、、。マッドマックスとGO! GO! LA混ぜたみたいなノリ? 頭イタクなる位、ヘンテコな映画でした、、好きだけど。 

The Crow 4: Wicked Prayer
  エドワード・ファーロング君が、「ザ・クロウ」の続編に出る、というのは以前に書きました(>>)な、なんと、それを撮る監督が、↑の〈ギター侍〉を撮った人、、、The Crowファンとしてはなんだか心配になってきました。とはいえもう公開も済んで米国ではDVDになっているそう。日本盤DVDがちゃんと出ますように、、。

GO! GO! L.A.
  今更、、ですがカウリスマキ監督は好きです。アキ・カウリスマキ監督のレニングラードカウボーイズ作品も大好きです。ここにも彼ら出てきます。このヴィンセント・ギャロもいい味です(脇役です)。主役の、英国から来たお兄ちゃん(すでに名前失念)、コメディもシリアスも巧くて、ひょろひょろときょろきょろの風貌が素敵! ジョー・ダレッサンドロ、ジュリー・デルピー、アヌーク・エーメ、そして『デッド・マン』のジョニー・デップ、、と見どころいっぱい。

ディフェンダー
  ・・・なんだっけ、これ(既に思い出せない)、、はいはい、ドルフ・ラングレン監督主演作品ですね。大好き、なわけではないけど、しょうもない作品でも結構見てる。これは欧州人としてのドルフが、対イラク戦への米国の対応におそらくNoを娯楽作品の中で言いたかったんだろうな、という、見方によっては大変真面目な映画。イスラム社会版「戦争の犬たち」を意識したのかもしれないけど、あの映画のような解決には至らなかった、、ドルフって頭良すぎる人だから、荒唐無稽に出来なかったんだろうな。

ブラック・スコルピオン
  これもドルフ・ラングレンですね。この作品好きです。でも、この日本盤DVDのジャケ、、これ嘘です。映画の中のドルフは、こんな板前さんみたいな髪型でなく(これってレッド・スコルピオンじゃん)、、ホントはこちら↓

Direct Action
  こちらが実写のジャケ。珍しいドルフのさらさら髪。。強面の刑事さんが、新米のおきゃんな女の子と組まされて、、っていうお約束映画ですが、ドルフが真っ赤なジャンパーをずっと着ていて、妙にシャイで、弱き者にはとっても優しくて、、。

処刑人
  本当に書きたかった作品はコレ! 今年見た中で最高の傑作アクション映画!(作品は新しくはありません)。この処刑人のポスターはよく見たよね。でも殺人もの、、はなんかイヤだったし、、でも、ちゃんと手にとってみて良かった! 確かにふたり(兄弟)は必殺仕事人なんだけど、描き方が現実には有り得ないくらい(コレって大事)、いかしたファンタジーに溢れててスタイリッシュで、動いてる兄弟はもう素晴らしく恰好良くて表情がやんちゃくれで可愛くて、衣装もお洒落で、何もかも最高。お兄ちゃんがマイケル・ビーン顔で、弟がショーン・ビーン顔と言えばどちらがどっちか判るかな? お兄ちゃん=ショーン・パトリック・フラナリーは、そうそう、若き日のインディ・ジョーンズをやってました、あの彼です。そして、弟ノーマン・リーダスは、そうなの、プラダやダーバンのモデルさんでもありました。前にダーバンで貰ったカタログに彼が載ってた! 渋くキメててもっと中年に近く見えて、ショーン・ビーンに似た人だなあ、と思ってたけど、ここで演技してる彼は、可愛い悪ガキ。ふたりとも本当に表情が生きてて、、弟や仲間の危機に、お兄ちゃんが顔まっ赤にして、青筋立てて泣き叫ぶところなど、、すごくピュアで涙しました。
 2人とも敬虔なアイリッシュのクリスチャン。原題は、、「頑丈な聖人」? ん、確かに頑丈なふたり、、兄弟喧嘩しても、痛めつけられても。

スタイリッシュなふたりの更に上を行く、驚異的な演技を見せてくれたのが、、ウィレム・デフォー!! デフォーという俳優さんに出会ったのは、言うまでもなく『プラトーン』でしたが、裸で煙草(麻薬)ふかしながらニヤリと笑う顔に「キース・リチャーズだ!」と思ったのが最初。ここではキースとは違うけど、史上に残る熱演。涙流しながら転げまわって笑わせてもらいました。。最高。



  やっぱり余りのカッコ良さに、続編が決まった?、、とかで、オフィシャルサイトもあるのですが、、なんと、今年の2月にノーマン・リーダスが、R.E.M.のコンサートを見た帰り、事故で大事な顔面を痛めてしまったのだそう。。弟よ、、お顔半分ダメでもいいから、続編に出てくれるのを待ってます。
The Boondock Saints Official Site >>

↑今、、クリスマスバージョンで、、兄の写真に赤いサンタ帽が被せてあったりして、、お茶目なサイトだわ、、ウィレム初め、出演者みんな、めちゃめちゃお茶目で大好き。

パウダー
  その、頼もしいお兄ちゃん、、ショーン・パトリック・フラナリーが高校生役で(!)繊細な表情を見せてくれる映画。パウダーのように真っ白な男の子、、、で、作品としては「シザー・ハンズ」のように異種な者の哀しみと愛、というのを描こうとしたのだろうけど、やや見世物趣味が鼻につく。アルビノの人を特殊に見てるみたいで、映画としてはキライ。
  ただ、ジョニー・デップと同様、、眼の表情でとても複雑で壊れそうな心理状態を演じるのは難しかったろうな、、彼は巧い、です。さらに、、この映画で最も素晴らしい発見が、エイリアンなどに出ていたランス・ヘンリクセン。死に瀕した妻を思う保安官役。SFじゃなく、シリアスなドラマでの名演をもっと見たくなりました。

グラス・ハープ 草の竪琴
  トルーマン・カポーティの映画が公開されると、某姉のブログにもありましたが、こちらはカポーティの自伝的小説が原作。エドワード・ファーロング主演、というのはなるほど適役です。共演者もウォルター・マッソーやジャック・レモンや名優揃い。ショーン・パトリック・フラナリーも、ファーロング君が憧れる野趣溢れる兄貴的存在を好演してます(やっぱりお兄ちゃんだ)。
  カポーティは、、最初に接した状況のせいか、読まず嫌いをしてしまったけど、『遠い声 遠い部屋』には惹きつけられたものがあって、、南部での少年期を描いたこの『草の竪琴』などの作品群、、ぜひ読もうと思ってます。

ハリウッド産業は低迷、だそうだけど、、劇場公開もされなかったような映画でも、、いいものたくさんあるし、、かと言って自分もレンタルに頼ってしまうけど、、でも、いい作品を〈見る〉のは大事だよね。

2001年そして2002年の12月22日

2005-12-23 | 映画にまつわるあれこれ
おとといの晩、ふと思い出した。
4年前の12月23日(だったと思う…)
友人と会って、私はThe Clash の Sandinista! のCD盤(かつてのLPは実家に置いて来た)を買って、スターバックスカフェでお喋りをして、皆で新宿南口に向った。その時、電光板にニュースが流れていて、ジャック・マイヨールの自殺を伝えていた。何故…?と足が止まった。

そのちょうど1年後、、
ジャック・マイヨールと同じ日〈22日)に、ジョー・ストラマーが突然死んだ。やっぱり何故…?と、思うしかなかった。

先日見た映画DVDに、たまたまジャン・マルク・バールが出ていたからかな、、それともノアの方舟を追う〈泳ぐ男〉の物語を読んだせいかな、、それともマイヨールとストラマーの命日を不意に思い出したせいかな、、。マイヨールの自殺について兄のピエールが書いた本、『マイヨール、イルカと海へ還る』を彼の命日に読むことにした。

『グラン・ブルー』(私が見た当時はグレート・ブルーだった)は忘れられない映画だし、ベッソン監督作品や、音楽のエリック・セラが好きな人とその頃、不思議とめぐり会ったりした。まだイルカや鯨の癒しブームみたいなものが始まる前だった。海へ還ろうとする(彼にとっては『還る』としか言いようがないんだと思う)主人公に、ロザンナ・アークウェット扮する女性が「I'm here! I'm real!」と訴える場面はずっと記憶に残っている。あの場面は、この前書いたような男と女の認識の相違を一瞬で見せてくれた場面だった。
・・・だから、というか、、、『ブルー』に嵌った人間としたら誰だってきっと「どうして首つりなんて、、」と思ったのではないだろうか、、。

いつか、この本を読んでみたいと思っていて、ふと思い出したので一日で全部読んだ。・・・自殺の真相、、、は、、イルカ人間ジャック・マイヨールであるがゆえのものでは、、どうも無かった。。別の読み方もあるかもしれないけれど、私には、あくまで鬱病が引き起こした病的な自死でしかないように思えた。だから例えば入院治療をしていればもしや免れたかもしれない死だとも思える。・・・ただ、その鬱症状を引き起こしたのは、水棲できる人間というのをジャックが余りに強く求めた事と、映画がもたらした影響と現実の重さ、、だったのだろう。

あの映画の後、グランブルー症候群みたいな人たちが本当に沢山いた。
そのことを考えれば、ジャックが映画のようにイルカに導かれて海底へ旅立ったのではなく、首をつったという事実に向き合うことは大切かもしれない。読み終えて、とても虚しさは残るには残ったけれど、でもけじめはついた気がした。寝る前にはもちろん「Sandinista!」を聴いた。ジョーの命は少し短すぎたけど、でもジョー・ストラマーは最後まで生き切った。
これですっきりとクリスマスが迎えられる。

青い棘のサウンドトラック

2005-11-02 | 映画にまつわるあれこれ
観て来ました。
買えました、サントラ。

ドイツ映画祭で見たときから音楽がとても気に入っていて
映画のチラシに載っていた「マルディグラBB(ブラスバンド)」のCDは
かつて聴いたことがあったので、ブラスの曲の方は判ったけれど、
ノスタルジックな切ないピアノの演奏も印象的で、
音楽担当のThomas Feinerから探し出して、彼がVoとKeyをやっていた「Anywhen」のCDも買いました。Anywhenの「The Opiates」は2001年のものだけど、今年は、安らぐ時もしんどい時も、こればかり聴いていた。それ位、Thomas Feinerの声と、静かでノスタルジックでダークな世界に惹かれてました。

映画「青い棘」のサウンドトラックは、マルディグラBBのブラスの入ったいかにも戦前の蓄音機から流れるジャズ風の唄と、せつないピアノ曲や、アコーディオンの曲がバランス良く入っていて、さっきからずっとエンドレスでかけていると、お部屋は1920年代のベルリン。。映画のエンディングで流れた低音のヴォーカルがThomas Feiner。素敵な声と、素晴らしい作曲センスだと思います。

ところで、アウグスト・ディールのエージェントHPに、彼の紹介Videoが出来ていました。「タトゥー」「青い棘」「9日目」から、彼らしいエキセントリックな名場面ばかりを集めてあって、見どころは一杯、、なのですが、映画の一番印象的な場面ばかりなので、これから作品をご覧になる人は要注意!!です。

それにしても、アウグストは拳銃所持率高い人ですね(笑)、、、どの映画でも銃をふりまわしてる。、、、でも、アウグストには是非是非、『ハムレット』をやってもらいたいなあ、、、映画でも、舞台でもいいから(舞台はもうやっているかもね)、、。髑髏を片手に悪ふざけの長広舌をやって欲しい。

 ***

映画館で予告編を見ると、本編でもないのに泣きそうになって困ります。
いい映画の予告、いっぱいあったなあ、、。
絶対みたいと思ったのは、、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジョセフ・ファインズの『ヴェニスの商人』

それから以前、ビデオで見たアンダルシアの映画『Vengo』で主演したフラメンコダンサー、アントニオ・カナーレスも出ている、『イベリア』、、。アイーダ・ゴメス、サラ・バラスなどが踊る本物のフラメンコダンスの映画。ヴェンゴの時は、カナーレスは俳優であって一切踊らなかったし、彼は、背も小柄、年齢とともに中年体型にもなっていて、踊ったらどんななのか想像がつかないけれど、ヴェンゴの情念に満ちた演技が忘れられないので、ぜひ『イベリア』での、彼の(そして女性陣の)情熱溢れるダンスを見てみたいのです。

以前の日記で「彼の踊りが見たい!」と願ったら、ちゃんとこうやって見れる機会がやってくるんだものね、、愛しいものを胸に刻んでおくと、いつかご褒美がもらえるんだ。

you are my sunshine...

2005-10-29 | 映画にまつわるあれこれ
先日、気味の悪いポスターを
お見せしてしまったので
お詫びのしるしに、
とっても素敵な映画を。。

ジム・キャリーがじつは好き、、というのは
前に書きました。
その頃、この映画観に行ってきたんだわ。

花吹雪が舞う季節だったけれど、写真にもあるように、そういえばこの映画の季節は冬でした。はなびらのような雪が舞っていましたっけ、、。
、、、いま公開中(?)の、記憶が消えていく、、という、胸がつぶれてしまいそうに悲しい(と思う)べつの映画よりも、、私は、胸がつぶれそうに恋しくてたまらなくなるこちらの映画の方が見たい、見たい、何度でも。

「エターナルサンシャイン」、、このタイトルを見ると、
なんだか昔教わった歌を思い出してしまいます。

入院・手術で、入学式をふくめ、1ヶ月半ほど学校へ行けなかった私は、もう青葉の頃に初めて中学生になりました。初めての英語の授業、、、。転校生みたいに立って自己紹介を(いちおう英語でマイネームイズ、、って)言えたら、その先生はめちゃめちゃ褒めてくれて、、、。毎回、その先生は、この歌(you are my sunshine)を授業の最初に教えてくれたのでした。まだ意味わからなくてもいいから、一緒に歌おう!って。曲はもともと知ってたから、すぐ覚えちゃって、、、その先生も大好きになった。

空がグレーの日でも、、、幸せにしてくれる、私の太陽。
Please don't take my sunshine away...


ごめんなさい、天邪鬼で

2005-10-25 | 映画にまつわるあれこれ
いきなり不気味な写真でゴメンなさい。

2年も前から待ち望んでいた映画「青い棘」が
ようやく公開になるらしく、
昨日の夕刊に1面広告が載っていた。

・・・が、
何なのぉ、、あの紹介文は、、、。

主役のダニエル・ブリュール君が
  《「グッバイ、レーニン」「ラヴェンダーの咲く庭で」》
という紹介なのはわかります。。。が、、何? アウグスト君の方ときたら、
  《ヘルムート・バーガーの再来!》、、しかもエクスクラメーションマーク付き。

アウグストだって主演作あります!
(このブログの検索で、アウグスト・ディールを拾って頂けば過去の日記ご覧になれます~) 
最初にこの新聞紙面をみつけた主は、「ものすごい情報操作だ、、」と言ってげらげら笑っているし、、、。な、なによ、アウグストといえば、「タトゥー」という名作があるじゃないかぁ。「9日目」だっていい演技してたじゃないかぁ。。。と怒っていたら、ページの隅のすみっこに、ちっちゃくちっちゃく出ているのを見つけて、また、げらげら笑っている。。 ほんとにちっちゃくて虫眼鏡でしか見えない位に書いてあるんだぞぉ。(、、まあね、、TATTOOって書いたらお客さん引くかもしれないけど、、、)

ふたりとも胸はだけた写真で、、、。
というわけで、アウグスト・ディール君はしっかり〈見えすいた意味での〉耽美派にされてしまいましたとさ(ほんとうに美しいからしょうがないんだけどね)。。ちょっとイジけたので、アウグストの美しい写真はやめて、「TATTOO」のポスター写真にしてあげます(デカダンス、耽美、といえば、こちらはその究極ともいえるわけで、、)。私はこちらのアウグストもしっかり好きです。

でも「青い棘」は観に行こうと思う、、、サントラ盤、、売ってないかなあ、とっても聴きたいんだ。。

銀色の羽と、、溶岩と、、、それからなぜかヴィンセント・ギャロ。

2005-09-13 | 映画にまつわるあれこれ
夏の間、仕事と学校だった私の
ようやくのなつやすみ、、、

たった2日間だけど。。

選挙の日、東京は大雨にみまわれたそうですが
そんなことも知らず、、雲行きが怪しいのは山の天気だから、かと。
山を下る渓流の絶え間ない水音を聴きながら、、、それでも、つい夜遅くまで開票の結果を追ってしまったのでした。

 ***

翌朝は、、、こんな空。




お天気の具合では、近くの美術館でのんびりしようか、、、と考えていたのですが、あまりのまぶしい陽射しに、、もう少し山の上まで行ってみることに、、、。

ロープウェイに乗って、標高2200メートルへ。
そこからは登山道になりますが、しばらくは私のような軟弱な心臓でも歩ける木道があるので大丈夫。。森林限界を超えると、高山植物と、ハイマツと、いちめんの溶岩の世界、、、。

  岩の隙間にこんな可愛らしい花が咲いています。

吹いてくる風は冷たいのに、尋常ではない陽射しの強さ。東京で浴びる1年分の紫外線を一度に浴びているみたい。。とびかっている沢山のトンボも写真に撮ろうとしたけれど、透き通った羽が銀色にキラキラ輝いているばかりです。

でもとにかく、、、山に還ればただただ嬉しい、、、
岩場を駆け、森を走るエルフ族にもどったみたいに(もどった、じゃないけど)。
本当は、、ちっちゃな子供に追い抜かされる位ゆっくり歩くのだけど、、まだこうやって歩けることに感謝しつつ、、まだまだ大丈夫なのじゃないかしら、って理由もなく心強くなったりもする。



岩場を下りてから、、ほとんど誰も歩こうとしない森の散策路を1時間ほど歩きました。
多くの人は雄大な景色だけ楽しむと、ロープウェイでまた下りてしまうのです。。しずまりかえった森の小道、、、じつはクマさんとの遭遇が一番コワイのですが、、、無事に目的の展望台まで。。ほんとうに何の音もしない世界、、、。
今回は、予定外だったので、街で履くようなスリップオンがいけませんでしたが、そこからさらに2km位先の湖まで、次はぜひとも行ってみたいと思います。

 ***

冒頭の写真は、、、ヴィンセント・ギャロのCD「when」
しばらく前、レポートを仕上げつつ聴いていたもの。。このアルバムが出た翌年?だったかしら、、、品川の原美術館へ、ヴィンセント・ギャロ展を観に行った事、思い出し、あの日も暑い、陽射しの眩しい日だったな、と。

それで、旅から戻ったら見るつもりで、彼の監督作「ブラウン・バニー」を借りておいた。
前半の、車窓を通した風景の光の感じ、少しハレーション気味の陽射し、、レース会場の外の森沿いの道、、、コロラドの山の中の道、、、ロスに近い場所の空と雲、、、それらが余りに旅の光景と繋がっていて、、標高2000mからの私の旅とひとつづきみたいでびっくりした。

・・・あのドライヴの映像が退屈だ、なんて(カンヌでは酷評)、きっと旅をしたことの無い人の感想なんだろう。。

・・・彼は極めて私小説的な作家。。。だけど、美しいものを創る人、、そう思います。彼自身もとても美しい人、、ですしね。

LES FLEURS DU MALが好きなニコポル

2005-08-23 | 映画にまつわるあれこれ
公開時、観に行けずに
パンフだけ買ってきてもらった、「GOD*DIVA」、、、
やっと見れた。

エンキ・ビラルは映画監督である前に、カルト的なコミック作家と言った方がいいのでしょうか。でも私は彼のコミックは読んだことが無いです。映画は「バンカーパレスホテル」も「ティコ・ムーン」も好き。何が素敵かって、セットの人工美と、役者さんの美しさ。ストーリーは何度みてもよく分からなかったりするのだけど、何年か過ぎて、物語も忘れかけた頃、また観たくなる。

今回は何と言っても<ジル>が綺麗! ティコ・ムーンのジュリー・デルピーは真っ赤な髪でしたが、今回は<青>。。。近未来のニューヨークも、仄青いグレーの都市。青い涙の浴槽に身体を沈めるジルと、彼女を抱き上げるニコポル、、、。
「LES FLEURS DU MAL」の詩を呟くのが好きなニコポルを演じるのは、、、こちらも大好きなトーマス・クレッチマン。。ジル=リンダ・アルディがミス・フランスで、クレッチマンが水泳のオリンピック選手なのだから、その姿が美しくないわけがない。彼らと、シャーロット・ランプリング以外の役者が、すべてCGという無機質な世界で、その生身の人間の美しさが際立つ。

「LES FLEURS DU MAL」の詩とは、、、シャルル・ボードレールの『悪の華』

この映画のストーリーが不十分とか、CGの人間が未熟とか、、技術至上主義の方ならいくらでも文句の付け所はあるでしょう、、、でも、、、近未来のNYで『悪の華』を口ずさむ世界観に共鳴できれば、、、好きになれるはず。

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近未来都市で『悪の華』、、、という感覚は、大正期の東京でボードレールを愛した文人たちの感覚ときっと近いはずです。

そう感じたから、、、北原白秋の「東京景物詩」の中から、、、「雪ふる夜のこころもち」の冒頭部を。

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今夜も雪が降つてゐる。

Blue devils よ。 / 酔ひ狂つた俺の神経が―― / Sara …sara…とふる雪の幽かな瞬(またたき)を聴きわけるほど―― / ひつそりと怖気づく、ほんの一時の気紛につけ込んで、 / 汝(おまへ)はやつて来る……ふるひながら例の房のついた尖帽をかぶつて、 / 掻きむしつた亜麻色の髪(け)の、泣き出しさうな青い面つきで、 / ふらふらと浮いた腰の、三尺ほどの脚(たけ)うまに乗って、 / ひょつくりこつくり西洋繰人形(あやつりにんぎよう)のやうにやつてくる。

硝子の閉つた青い街を、 / 濡れに濡れた舗石のうへを、 / ピアノが鳴る……金色のせん音の / 潤むだ夜の空気に緑を帯びて消えてゆく。 

雪がふる。………/ 湿った劇薬の結晶、/ アンチピリンの、(頓服剤の、)粉末のやうに―― / それがまた青白い瓦斯に映って / 幣私的里(ヒステリー)の発作が過ぎた、そのあとの沈んだ気分の雰囲気に / 落ちついた悲哀(かなしみ)の断片がしみじみと降りしきる。 (長い詩なので以下略です)

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エンキ・ビラルのコミック、映画の原作にもなったニコボル三部作、こちらもいつか読んでみたいな。
ニコポル三部作〈1〉不死者のカーニバル

若さとは、ワインを飲まずして酔っている状態なのだ、、(ゲーテ)、、か。

2005-08-13 | 映画にまつわるあれこれ
映画の話、3つ。。。

前にも書いた映画『青い棘』の日本版オフィシャルサイトが、出来ていた。
監督さんや、俳優さんのインタビューや、
実際の事件のことなど詳しく載っていて
とてもわかり易いのだけど、映画の中ではその辺り、逆に余り説明されていない。
美しい映画には違いないし、、ギュンターはやっぱりアウグスト・ディール以外考えられない適役だし、、、他のキャストも音楽も好きなのだけど、、、“愛”のために死す、という、ギュンターの“愛”は、、、誰に向けられていたんだろう、、ハンス? パウル? 妹ヒルデ? あるいは自分? 全部当て嵌まるようで、当て嵌まらないようで。。。

でも、きっとまた秋の公開も観に行ってしまうと思うな、、。

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友達に、「観に行く?」と尋ねたら、「痛そうだからイヤ」と云われてしまった映画、、、
カート・コバーンの死にインスパイアされた、ガス・ヴァン・サント監督、マイケル・ピット主演の映画『LAST DAYS』。
カートの死に衝撃を受けてしまった世代ではないし、、むしろ、、カートが可哀相な子供にしか思えなくて残念でしょうがないのだけど、、監督にも信頼がおけるし、音楽もサーストン・ムーア(SONIC YOUTH)だというし、公開されたら観たいと思ってる。。でもきっと、、周りは、カートを想って止まない子ばかりだろうな、、、そっちの方が痛い。

写真では、マイケル・ピットの横顔が、とてもよく似ていると思う。髪を耳の後ろにかけている所など、とても。。こうしながらギターをかき鳴らしている時のカートが、とても好きだ。「MTV アンプラグド・イン・ニューヨーク」は素晴らしい。

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ジャック・ケルアックの小説『路上 On The Road』が映画化されるそうだ。
キャストは誰・・・? もし7、8年も前だったら、ぜったいジョニー・デップもケルアック(サル・パラダイス)を演じたいと思ったことでしょう。(『ビートニク』ではケルアックを演じています。
破天荒なニール・キャサディは、、こちらも、もう少し若かったら、エイドリアン・ブロディなんかがいいと私は思うのだけど、、、。私は彼の、ピアニストとは全然違う、エキセントリックな演技が好きです。  (『ヴィレッジ』という映画の彼の演技もとても良かったし、、、主演のブライス・ダラス・ハワード(ロン・ハワードの娘)も美しかったし、ホアキン・フェニックスや、シガニー・ウィーバーや、いいキャストなのに、、、如何せん脚本が、、、。もしこれを映画館で観てたら、相当怒るかも。。閑話休題)

・・・でもなぁ、、、『路上』、、、ジョー・ストラマーも死んでしまったし、、音楽は彼がやったら良かったのになあ。。
『路上』日本版にして、マーシー(ケルアック)&ヒロト君(ニール)なんて素敵ではないでしょうか(あ、彼らももう40代だったね?)

痛くてもやすらぎ、、、

2005-07-24 | 映画にまつわるあれこれ
曇り空の昼下がり。
シド・バレットのドキュメントをみていた。

Sydはとても綺麗。
ミック・ロックが撮影した写真のSydみたいに
床にぺたんと座り込んで、、、Sydの思い出をみていた。

明日はとても早起きして、、遠くの町へ行く。
ひとり旅は好き、、、いろんなことを考えられるから。

PINK FLOYD & SYD BARRETT STORY

ドイツ映画祭後記

2005-06-13 | 映画にまつわるあれこれ
ドイツ映画祭が終った。
会期中、2作品を見ることが出来た。

5/31のとこでも書いた「青い棘」の、上映前と後に、監督さんの挨拶&インタビューがあった。この作品は1927年にベルリンで起きた実話がもとになっているのだが、監督は「自殺クラブ」という言葉を使っていた(ドイツ語解らないから通訳の人の言葉)。R・L・スティーブンソンの小説にも、王子が身分を隠して「自殺クラブ」に入り込む話がある(この映画と内容は全然違います)。ふとそれを思い出した。
大富豪の息子ギュンター(アウグスト・ディール)が、なぜ「自殺クラブ」なるものを思い描くに至ったか、その友だちパウル(ダニエル・ブリュール)は境遇も異なり、そのズレが最終的な道のズレにも繋がるわけだけれど、その二人の背景がもう少し描けていたら良かったのに、と思った。

ともかくも「青い棘」は美しい映画でした。これのTrailerを見た時から気に入っていたのだけど、サントラがとても良くて、ドイツ版Amazonで聴くことが出来る(「青い棘」サントラ Amazon Germany) 
今秋の日本公開の頃には、こちらでも買えるかしら。でも、早く聴きたいなあ、、、。

もう1作品は「9日目」(写真)。
「ブリキの太鼓」のシュレンドルフ監督作品。こちらは難しい映画でした。
ナチスの収容所からひとりの司祭が釈放される。しかし、それは「釈放」ではなく、実際は、教会をナチス側に有利なように働きかける任をその司祭に負わせる為の、一時的な解放にすぎなかった。彼を、信仰と現実(家族や収容者仲間)との狭間へ言葉で追い詰めていく若きナチSS役が、アウグスト。聖書の教義や、イエスや信徒に対する解釈を、司祭に説き伏せていく、この難しい役柄を、若いながら頑張って演じていたと思います。弁の立つ将校として、言葉をまくし立てるところが、素晴らしく独逸語が綺麗(意味解らないので、あくまで音として)。この人、舞台も確かこなすと思うのだけれど、そのあたり堂々としたものでした。
ただ、、、本当に若い。色が白いから、激昂すると顔がぱーっと紅潮して、少年じみた素がふとのぞく。。その少年ぽさが、感情を捨てた若きナチSSが垣間見せる<素>の部分なのかどうかは、人によって感じ方はちがうと思いますが、、、。

今年は戦後60年目。ドイツ映画では、今作品や、「MY FATHER」(公式ブログ>>)など、第二次大戦で犯した罪を正面から描こうとする作品が生まれているけれど、そういう姿勢がわたしたちにももっとあるべきではないのかな。。。唯一の被爆国ではあるけれども。「前へいきましょうよ、前へ」、、とか言ってる政治家の声(国民感情を代弁する声か?)を聞くと恥かしくて吐気がする。(註・・・あとで公式ブログ見たら、ドイツ映画ではないのですね、なるほど。。戦争を描くのは難しい・・・)

「青い棘」の監督さんが裏話を披露してくれた。
ダニエル・ブリュールで世界的ヒットとなった「グッバイ、レーニン」は、当初、アウグスト・ディールに主役を打診していたのだそう。でも、アウグストがそれを断った為に、ダニエルになったとか。。。断るアウグストも自分を良く知っていると言うか、、、アウグスト主演だったら、あんな大ヒットになったかどうか。。。
彼のことが予告編の紹介で「ヘルムート・バーガーの再来」と出てた。そうかなあ、、、? 確かに貴族的な美しさの中に狂気をもった役者さんだと思います。私はヘルムート・バーガー全然好きではないので、・・・だけど、「ルードウィヒ」をリメイクさせたらやっぱり似合うだろうな。