星のひとかけ

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アンドリス・ネルソンス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 11月16日サントリーホール

2024-11-20 | LIVEにまつわるあれこれ
17日に(また書きます)などと書いて… それから日一日と過ぎていく中で、 私などには何も書けないと思い至りました…ほんと (^ ^;

前回2020年、ゲルギエフさん指揮のウィーン・フィルが初めての体験(そのときの日記>>) あのときに《これは魔法》だとか《楽器じゃない美そのもの》とか書いてますが じつは今回すこし怖かったのです、、 あのときそんな風に感激していたことが(あれ?そうでもない…)なんて醒めてしまったらどうしよう…と。。

今回は曲目で行く日を選びました。 マーラーも 「英雄の生涯」も聴きたかったけれど、 英雄の生涯は東響さんでのニキティンさんの演奏の思い出をまだ取っておきたかったし…
今回の3曲とも とても美しい曲ばかりなので(これらがウィーン・フィルで聴けるなんて)と楽しみにしていました。



ムソルグスキー(ショスタコーヴィチ 編曲):オペラ『ホヴァンシチナ』第1幕への前奏曲「モスクワ河の夜明け」
ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 作品70

ドヴォルジャーク:交響曲第7番 ニ短調 作品70(B 141)


アンドリス・ネルソンス指揮 
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


〈アンコール〉
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『我が人生は愛と喜び』作品263
J.シュトラウスⅡ世:『トリッチ・トラッチ・ポルカ』作品214



どの曲が、、 どのパートが、、 などと本当に何か言えるような知識も耳も持っておりません… ただ前回同様、 (ウィーン・フィルだから)という思い込みはせず まっさらな状態で聴こう… そう思って、、

だけどやっぱり驚きました。。 《魔法?》とは思わなかったけれど、 楽器を聴いているという感覚が全然しないのです。 ベルリンフィルの時にも書いたけれど、 とつぜん音楽が湧きあがってくるのです、、(ジャーン)と奏でられるという表現では無くて、 ネルソンスさんの指揮とともに《音楽がそこに現れる、存在する》、、、なぜ??

弦の艶 とかいう表現も、もはや弦の気配すらしない、、 美しい音楽がそこに在る。。 フルートさんとかも ふっと息を吹き込むそういう気配というのが大抵感じられると思うのだけど、純粋な《音》しか出てこない、、音というか《色彩》みたいなもの。。 例えば、森の中で小鳥のさえずりを耳にする時、 小鳥のくちばしとか呼気とかの気配などせずに、空間に《声》だけが立ち現れるでしょう…(あ、鳥!)って。。 それと同様、ピッコロさんの音色なども楽器じゃない、、声?鳥? そんな感じ。

そういうことが不思議でふしぎで、、。 
それで サントリーホールの公式Xに、今回の公演のマーラーの動画が載っていたので(こちら>>)、ウチのわりと良いイヤホンで聴いてみたのです、、たしかに迫力ある美しい演奏なんですけどやっぱりこれは〈演奏〉として感じられる、〈楽器〉として聞こえる、、ホールで感じたのと全然違う、、 なぜ?

空気を伝わってくる波動とか、 楽器相互の配置とか共鳴とかホールの奥行とか、 音の周波数をこちらの耳だけでなく肉体全部が受けとるその響きとか、、 《生》で体感することの特別さが不思議でならなかったです。。

「モスクワ河の夜明け」の弦とチェレスタの煌めきや、 
ショスタコのフルートやピッコロの色彩、、 手でシンバルを持って奏でた時の《光》そのもののような音色、、

ファゴットさんのソロは なんだかホルンかと思ってしまうような艶があったし、、 そもそも 木管楽器と金管楽器の音色の区別がつかないような、、 どちらかがどちらかに少しずつ近寄って、それですべての音が一体化して《交響曲》というひとつの壮大な《色彩》というか創造物が湧き上がってくる、、 そういう感覚は後半のドヴォルジャークでも強く感じました。

ネルソンスさんの指揮はとても繊細できめ細かい指揮をなさっていて、、 へんな喩えですけど まるで砂絵で曼陀羅を描くような感じで、 両手で大気中の音をうごかして そうすろことで壮大で美しい《交響曲》がそこに生まれる… う~ん、やっぱり《魔法》をそこに見ているような気がしていました。。

ネルソンスさんは一見、 とてもお疲れのように見えました。 ツアーはほぼ毎日、 各地を巡っていらして、 それも3種類のプログラム。。 失礼な言い方ですけど、ウィーン・フィルほどの楽団であれば(それに何度もリハもされているのだし) ネルソンスさんの本番の指揮が少しくらいお休みしても たぶん素晴らしい演奏が自然となされるものなのでは…? そう思うものの、 演奏が始まると ネルソンスさんのお疲れの様子も消え失せ、 前傾姿勢になってもの凄くキメ細やかにオケを操る、、 オケの皆さんも食い入るようにネルソンスさんを見つめて 身体をうねらせて身体じゅうを楽器にするような音を奏でる。。 連日演奏して来られて それでもこんなに集中している、、 そのことにとっても感動いたしました。。 心から演奏することが好きで、 音楽を奏でる喜びを感じておられる、毎日でも、、。 そういう姿勢に感じられました。

アンコールでもそのことは存分と。。 ネルソンスさん、とってもノリノリで楽しそうに、、 本当にニューイヤーコンサートそのもののあの愉しさを 私たちにプレゼントしてくださいました。 もう感謝、しあわせ、、 感動、、よろこび、、 いっぱいです。

でもネルソンスさん、 きっとお疲れだったと思います。 片手を指揮台に乗せて身体を支えるよう.にしてらしたし、、 帰国なさったらゆっくり疲れを癒していただきたいです。




とても美しく幸せな時間でした…  ** °˖✧。*✧。***

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