星のひとかけ

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平らかであれ…:寛永寺天井絵奉納記念『手塚雄二展』に行って来ました。

2024-10-25 | アートにまつわるあれこれ
以前からお友だちと約束していたランチと共に、 横浜そごう美術館で開催されている 寛永寺創建四百周年 根本中堂天井絵奉納記念『手塚雄二展』を鑑賞してきました。

寛永寺は上野にある1625年創建のお寺。 日本画家の手塚雄二さんは平山郁夫に師事され、長年東京藝大の教授をされた日本画家で、 寛永寺からの依頼によってこのたび 6×12メートルの天井画を描かれました。 その大きな龍の天井画が 来年の奉納を前にまぢかで拝見できるというもの。。
また、 これまでの多くの作品も同時に鑑賞できました。


巨大な双龍の天井画は、 寛永寺の天井の板を外して、 その板に直接描くというめずらしい方法で描かれていました。 そしてその大きさの天井絵が床いっぱいに置かれているのですから すぐそばに立って鑑賞することも出来ますが大き過ぎてひと目では視界におさまりません、、 それで絵の近くに階段があって台の上に登り、 上から眺められるようになっています。 

上から撮影しても 全部は収まりきりませんでした…



龍の指は最高位をあらわす五本指。 阿吽の双龍が持っているのは 片方が宝珠で、 もう一方の龍の手には 寛永寺のご本尊である薬師瑠璃光如来を示す梵字が 青いラピスラズリを含んだ岩絵具で描かれているそうです。(上記の写真の右のほうの手の中で青く梵字が見えます)

上記の写真は露出をちょっと変えてあります。 館内で見たときは照明がやや暗いのでこんなにくっきりとは見えませんでした。 下に降りて近寄って細部を少しずつ見ていくと細かく良く見えますが 一度に全体を見ようとするとなかなか…
でも お寺の天井におさめられたのを見上げると きっと壮観でしょうね。

こちらを⤵ 奥の人影とくらべると大きさがよく判るかと…



 ***

ほかに これまでの画業のさまざまな絵も鑑賞できました。 チラシには載っていませんが、 しずかな海辺のひとすじの波を描いた屏風や、 ちょっと西洋の妖精のトンネルのような 森の樹々に囲まれた光のトンネルなど、、 多くを語らない静かな絵に私はとても惹きつけられました。





さきほどの龍の天井画の制作過程をビデオで拝見できるコーナーもあって、 お弟子さんと共に下絵を描くところや、 板に描いた墨絵をごしごしと布で擦っていわゆる「時代を出す」作業など面白く拝見しました。

龍の天井画といえば、 以前に 大好きな加山又造さんが京都の天龍寺の天井絵を描くビデオ展示を見たことを思い出します(そのときの日記>>) あのときは残念ながら実物は見られず映像だけでしたが、 今回は巨大な天井画の現物を拝見できたのは貴重なことでした。 そして、 板に直接描くということで 四百年前の木の木目や肌合いと 墨や絵具とが沁み込んで溶け合ってそうして共に絵となっていく、 その創造過程もひとつの作品であり、 祈りのような時間であると感じました。

上野寛永寺のご本尊、 薬師瑠璃光如来さまは病気平癒の仏さまだそうです。 じぶんの病気が治癒することは叶わないし 神さま仏さまにそう願ったことはこれまでも一度も無いです(治癒はしないと分かっているから) 、、でも 病気の症状がフラットでいてくれること、、 出来るだけ平らかなままでいて欲しいということは いま切に願わずにいられません…

薬師瑠璃光如来さまから遣わされた龍の手の青い梵字は、 来年の奉納のときにあらためて筆を入れて完成するのだそうです。



この世の中が平らかであること…



そして 病をもって生きているすべての人にとって



毎日が平らかでありますように…




双龍に願いをこめて
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