星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

くもりぞら、、ときどき雨

2006-07-24 | 映画にまつわるあれこれ
心に残っている映画を、、

Jの悲劇(原題:enduring love)
新ジェームズ・ボンドをやることになったダニエル・クレイグの主演。彼は好きです。シルヴィアで、詩人シルヴィア・プラスの夫、テッド・ヒューズを演じていた。詩人とか今回の大学教授とかが似合いだけれど、感情が暴走する演技が好き。この映画、観るまで原作がイアン・マキューアン(『愛の続き』)だと気づかなかった。イアン・マキューアンの小説が、たくさん映画化されていることを初めて知る、、「セメント・ガーデン」の映画版は今度ぜひ観よう(今は「贖罪」が撮影中とか)。今作もそうだけれど、映画の邦題が全く違うのが余りにもヒドイと思う。今作では、イアン・マキューアンらしい日常が崩壊していく感覚、物語の導入部と物語がすっかり変わっていく感覚が良かった。ダニエル・クレイグには最も英国人らしいジェームズ・ボンドになって欲しいもの、、。

WAR REQUIEM
デレク・ジャーマン監督作品ではまだ見ていないものがいくつかある。映画の中に科白はなく、戦争詩人ウィルフレッド・オーエンの詩がナレーションとして語られ、老兵士ローレンス・オリヴィエ(これが遺作となった)や、従軍看護婦ティルダ・スウィントンや、独兵士ショーン・ビーンなどの言葉の無い演技が、第1次大戦から現在の紛争までのレクイエムとなって淡々と綴られる。ティルダ・スウィントンは今は「ナルニア国」でも有名だけれど、この映画ではどんな場面でもストップすればそのままレンブラントの絵になりそうなほど美しく、そして、デレク・ジャーマンの映像は美しいが故に痛ましい。

9SONGS
これについては以前ちらと書いた。black rebel motorcycle club のライブシーンが冒頭にある映画。彼らのLIVEで出会った男女。映画のテーマは彼ら二人のLOVEなのだけれど、監督がコメントしていた通り、映画のもうひとつのテーマはLIVE。LOVEとLIVE。だからタイトルにもある通り9つのLIVEシーンが流れる。それがダンディウォーホールズ、プライマルスクリーム、フランツフェルディナンド等、自分的に非常に解るアーティストたちで、LIVEを背景として撮影するのではなく、LIVEの歌(とその歌詞)とその場にいる二人(そしてその場のオーディエンス)の雰囲気が映画のストーリィをかたちづくっていることが、自分にとって良く解る映画になっていた。20代そこそこのある一時期でしか有り得ない熱情なのだけど、black rebel~に始まり、black rebel~で終りを告げるLOVE(その中でマイケル・ナイマンの公演が大切な記念日になっている)、、、この感覚にシンパシィを抱く人にはとてもキュートな映画だろうと思う(そうでない人にとっては唯のエロティックな映画だ)。