星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

ミラン・クンデラさん 

2023-07-13 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
猛暑がつづいていますね。。 

きょうは32度という予報が (ちょっと涼しい…) というおかしな感覚に陥っています。 大雨も心配、、 竜巻みたいな突風も心配、、 もうかつての日本の気候じゃないみたいな毎日。 冷房に頼りたくはないけれど 使わないわけにはいかないし… 体温コントロールがおかしくなりそうなので 無理せず体調ケアのストレッチだけは欠かさず。。

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つい先月 コーマック・マッカーシーが亡くなった時に 同時代の作家(>>)、ということで話題にしたミラン・クンデラさん、 どうしているだろう… と書いた矢先、 94歳でご逝去されました。 

明らかに偉大な作家でありながらノーベル文学賞を取らなかった作家は何人もいますが、 クンデラもたしかにそのひとりと思います。



『集英社ギャラリー 世界の文学 (12) ドイツ3 中欧・東欧・イタリア』 1989年
『不滅』菅野昭正訳 集英社 1992年

世界の文学の帯に 映画「存在の耐えられない軽さ」の写真が使われてますが 日本では映画が先で88年の公開、 千野栄一訳の本邦初訳がこの『世界の文学』 に収載されて、 「存在の耐えられない軽さ」は当初この本でしか読むことはできませんでした。

OLのお給料で一人暮らしをしていた私にはこの本を買うのはなかなか難しくって、 山本容子さんの美しい表紙にあこがれつつ、、 ちょっと経ってから古本屋さんの店頭でみつけて(それでも高かった)やっと手に入れたのでした。 でも、 重くて寝転がって読めるような本ではないし、 『存在の…』も映画のように2時間ほどで読みこなせるような作品ではなく、 哲学的思索や時代の考察を積み重ねながらトマーシュとテレーザの愛の物語がすすんでいく、、 なんども中断を繰り返しながら クンデラの読書はまさに「永劫回帰」なのでした。

『不滅』Immortality は88年に書かれたけれども 本国チェコでは出版されず 90年にフランス語訳のものがフランスで出版されたのが最初なのですね。 この菅野昭正訳もフランス語版からの翻訳です。 だとすると92年邦訳出版というのはとても早かったのがわかります。 クンデラが当時いかに重要な作家さんだったかがわかります。 この『不滅』でノーベル文学賞を取っても良かったのかも… 

『不滅』も何度もなんども挫折をくりかえしながら読んだ本です。 日常の出来事を描いていながら その背後の世界と歴史を同時に読み込んでいく。。 素晴らしい作品、とわかっているのにじっくりと考えつつ読まなければ解らないのでとにかく時間がかかって それで他の本に手を出してしまう。。 クンデラの読書にはのめり込める時間が必要。。

ほかにもいくつか読みました。 『笑いと忘却の書』『微笑を誘う愛の物語』、、 いまは文庫になって読めるのは良いことです。 亡命後の20年後を書いた『無知』がもっとも最近、というか最後に読んだ小説なのかな、、 『無知』の読後感はなんだか悲しかったです。 国を追われる、 国を捨てざるを得ない、という決断をしてまで守ろうとしたものが 世界の流れのなかでいかに脆く儚いか、、

クンデラのこれらの著作から30年、40年、、 ヨーロッパの地図が変わり、 西欧・東欧の境界も変わり、、 『世界の文学』では中欧・東欧に分類されていたこれらの国々の文学、、 いま、 ヨーロッパからロシアに至る世界がこのようになっている今、 あらためてゆっくりとクンデラが築いてきた文学を読んだら 昔よりももっとよく理解することができるように思います。

クンデラをじっくり読む時間を また持ちたいと思っています。


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そういえば…
ポーランドも、、 かつて東側といわれた国でした。。 そのポーランドのウルバンスキさん指揮 PMFのオープニングコンサートは無事に終わったようです。 北海道、、 いいなぁ、、
本気で北海道まで行こうかと 飛行機代やホテル代やら計算しかけてやっぱりムリと諦めました… 笑

今度の三連休にもPMFのコンサートあるのですよね、、 すばらしい夏になりますように。。


わたしの三連休も音楽の夏のひとときを…  



猛暑に負けませんように…