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神奈川県の西部にある「小さな町」で暮らす私.
日々の出来事、見たこと、感じたこと、思ったことを綴っていきます。

火宅の坂~~(読書感想文です)

2011-12-15 | 本と雑誌

「澤田ふじ子」 著 の時代小説ですが、その内容は、まさしく「現代人必読」のものです!

「人は、突然職を失ったとき、どう乗り越えていくのだろうか」 

江戸時代、藩の財政悪化で断行された「永御暇(ながのおいとま)」の犠牲になり浪人となった主人公が、武士の誇りを捨て、自分の好きな「絵」を生業としようと決心。
同じく浪人となった仲間や、絵の師、市井の人々と助け合いながら生きていく様が、描かれています。Dsc02950

今の日本の状態・・・、
バブル崩壊、リーマンショックの直撃、派遣切り、政治の無策、大震災、原発事故、国の大借金・・・、
日本経済の危機はどこまで続くのだろうか・・・。
まさに、この本の「藩」の状態そのものです。

「火宅」とは、煩悩が盛んで不安なことを火災にあった家にたとえていう言葉で、現世や娑婆を意味します。
そして、この火宅は一気に襲い掛かってくることが多いのです。
そんなとき、どう人生を切り開いて「自分らしく」生きていくか・・・、そんなことをしっかり考えねばならないと感じる本でした。

主人公は。
「わたしたちは誰もが「火宅の坂」を登ったり下ったりしている」
と言っています。
まさにその通り・・・、楽しかったり悲しかったり、苦労したり楽をしたり・・・どんな境遇になっても、どんな環境におかれても、「自分を信じて、自分らしく」生きたいものです