戦後の進駐軍相手のR・A・A(特殊慰安施設協会)から始まって、昭和31年の赤線廃止でトルコ(今ソープランド)へと変遷していく公娼施設を通した日本戦後史。
女子大生(加賀まり子!)が赤線に紛れ込んできて、娼婦たちに労働者としての権利(!)を教えたものだからストライキを起きるくだりは、笑わせる一方、身分の違いというものがはっきりあった時代だったことを教える。今では女子大生どころか女子中学生が売春しても大して驚かれない。そのくせこういう映画はまず作れなくなっている。
うたごえ喫茶でロシア民謡なんかを歌っている学生たちをつかまえて、娼家の連中が「みんな同じ顔をしている」というあたりは、製作された1964年ではなかなか言いにくかったのではないか。
しきりと娼婦の前で強がっていた童貞の学生(勝呂誉!)が筆おろしした後「汚れちまった悲しみに…」なんて中原中也の詩なんぞを口ずさむところは笑った。
威勢よくトルコに移って行く女たちのトラックに混じって、自殺した娼婦の霊柩車が走っているところにロシア調の音楽がかぶる、重層的なイメージの作り方。
前田陽一監督(兼脚本)のデビュー作だが、赤線のオープンセットなど堂々たる規模。まだ撮影所の機能がしっかりしていた時期だったのだね。
(☆☆☆★)
女子大生(加賀まり子!)が赤線に紛れ込んできて、娼婦たちに労働者としての権利(!)を教えたものだからストライキを起きるくだりは、笑わせる一方、身分の違いというものがはっきりあった時代だったことを教える。今では女子大生どころか女子中学生が売春しても大して驚かれない。そのくせこういう映画はまず作れなくなっている。
うたごえ喫茶でロシア民謡なんかを歌っている学生たちをつかまえて、娼家の連中が「みんな同じ顔をしている」というあたりは、製作された1964年ではなかなか言いにくかったのではないか。
しきりと娼婦の前で強がっていた童貞の学生(勝呂誉!)が筆おろしした後「汚れちまった悲しみに…」なんて中原中也の詩なんぞを口ずさむところは笑った。
威勢よくトルコに移って行く女たちのトラックに混じって、自殺した娼婦の霊柩車が走っているところにロシア調の音楽がかぶる、重層的なイメージの作り方。
前田陽一監督(兼脚本)のデビュー作だが、赤線のオープンセットなど堂々たる規模。まだ撮影所の機能がしっかりしていた時期だったのだね。
(☆☆☆★)