日本映画の映画人口がピークに達した次の年(1959年)の製作だけに、画面作りはおそろしく念がいっている。
原作で「この人指し指だけが君を覚えていたよ」と左の人指し指を出すという件りがあるのだが、初め列車の窓に触れるのも左手、岸恵子の駒子のお酌を受けるところでは位置関係から初めは右手にお猪口を持っていたのが、改めて差し向いになると左手で受ける、いう調子。
いりすぎてテンポがいささかのろい感じもするが。
川端康成の原作はおよそドラマドラマしたところがなくて、ラストに火事の場面がある版とない版があってどちらでも大して変わらないくらいなのだが、八住利雄の脚色は戦争の影を入れたりして、もう少し目鼻立ちをはっきりさせている。
池辺良がぱらりと前髪をたらして前世紀の文士ばりのイメージで出てくるが、画家と言う設定で、パトロンがいると脚色で書き込まれている。原作だと何やって食っているのかさっぱりわからなかった。
前説に立った高山由起子が池辺の“受け”の芝居を称賛していた。同感。
バックに「中越バス」の看板が見える。時あたかも新潟大地震の直後。この豪雪は今でも変わるまいと思うと、ぞっとする。
(☆☆☆★)
原作で「この人指し指だけが君を覚えていたよ」と左の人指し指を出すという件りがあるのだが、初め列車の窓に触れるのも左手、岸恵子の駒子のお酌を受けるところでは位置関係から初めは右手にお猪口を持っていたのが、改めて差し向いになると左手で受ける、いう調子。
いりすぎてテンポがいささかのろい感じもするが。
川端康成の原作はおよそドラマドラマしたところがなくて、ラストに火事の場面がある版とない版があってどちらでも大して変わらないくらいなのだが、八住利雄の脚色は戦争の影を入れたりして、もう少し目鼻立ちをはっきりさせている。
池辺良がぱらりと前髪をたらして前世紀の文士ばりのイメージで出てくるが、画家と言う設定で、パトロンがいると脚色で書き込まれている。原作だと何やって食っているのかさっぱりわからなかった。
前説に立った高山由起子が池辺の“受け”の芝居を称賛していた。同感。
バックに「中越バス」の看板が見える。時あたかも新潟大地震の直後。この豪雪は今でも変わるまいと思うと、ぞっとする。
(☆☆☆★)