prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「不滅の男 エンケン対日本武道館」

2005年09月09日 | 映画
客を全然入れない日本武道館にセットを組み、自転車でやってきた遠藤賢司がたった一人で丸一日歌って楽器を演奏して、また自転車で帰っていくのを記録したライブ。
一人でずうっとテンション上げっぱなしの驚異。
客がいないから空しいかっていうと、関係なし。音楽を聞かせたくて聞かせる奴と、聞きたくて聞く奴とが揃えばライブだろうが、ここではそれがたまたま同一人物だったというだけ。

「踊ろよ、べイビー」で巨大なミラーボールの前で歌い終わった後、パンアップすると武道館の天井にミラーの光がプラネタリウムの星空のように写っている詩情。

ほとんどエンケンの自作曲だが、一つだけベートヴェンの「第九」の「歓喜の歌」が入る。普通大合唱で演奏される曲を一人で演じるところで、ほとんど全編唯一場内に明かりが入る。そのだだっ広い中で、一人で負けずに合唱しちゃってる。

ギターアンプを積み重ねて作った富士山にススキが生えているセット。エンドタイトル見ると、「生け花」とクレジットされているのがなんだか可笑しい。そのススキから見え隠れしながら絶唱するあたり、何やら妖怪じみていて、暗い中にスタッフが動いているのがまたお化けみたい。
(☆☆☆★★★)