prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「エヴァは眠れない」

2005年09月14日 | 映画
1957年のポーランド映画。
入学式前夜に寄宿舎に着いた娘が、規則を盾にされて宿泊を許されず、泥棒や娼婦や警官がやたら入り乱れる妙な町を眠れないままうろうろするコメディ。今見るとテンポは緩いが、十分笑える。
人の頭をひっぱたいて鞄を盗んだ泥棒がまた別の泥棒に頭ひっぱたかれて盗まれて、そのまた泥棒が…という繰り返しとか、警察の武器庫にヒロインが逃げ込んだものだから、檻の中の泥棒に扉を開けさせたりといったわかりやすいギャグの他、箱馬車を開けるとなぜか犬がぞろぞろ出てきるといったシュール系、ヒロインがすました顔で鉄格子を通り抜けてしまう(細ーい)といったセンスで笑わせるギャグなど、いろいろ。

ものすごく古い街並の、特に夜景が不思議の国のようなニュアンスをよく出した。
主演のバルバラ・クフャトコフスカヤはロマン・ポランスキーの最初の夫人だというが、大きな眼、すこしすぼまった厚い下唇と、デビュー当時のナスターシャ・キンスキーとちょっと似たタイプ。
(☆☆☆★)



「スター・ウォーズ シスの復讐」

2005年09月14日 | 映画
これだけ盛大に視覚効果を盛り込んだ映画で、しかしアナキンが暗黒面に入り込んでいくところは、オセロがイアーゴーにたぶらかされるように「言葉」の説得によるものになるのだね。イアン・マクダーミドの朗々としたシェイクスピア劇的台詞まわし。
なぜアナキンが暗黒面に入って力を得るのが妻パドメを守ることになるのか、という理屈が今一つピンとこない。具体的に危機が迫ったわけではないのだから。
アナキンの母の死が割と軽く描かれていたり、このシリーズはどうも女性キャラクターの描き方が淡白。

空間恐怖症的にちょっと画面に空いたところがあると何か飛んでいる、というのはどんなものか。なんかせせこましい感じ。

アナキンがクリストファー・リーの首ははねるは、子供は殺すわ、しまいには自分が脚を切られて焼けただれるわで、ずいぶん凄惨。第一作のノー天気さが、今となってはウソのよう。
代わりにエピソード1、2に比べて緊張感は大幅アップ。アナキンとオビワンの対決は溶岩をバックに大いにドラマチックに盛り上がる。

ルークとレイアの双子が生まれた途端、名前を呼ぶのはなんか変。考えて決めたのではなく、最初から決まってたみたい。
とはいえ、ストーリーがぐるっと大回りした末収まるところに収まるのは、感慨あり。

ラスト、戦艦に乗り込んだヴェイダーのそばにピーター・カッシング(モフ・ターキン提督)に似た人がいるあたり、芸が細かい。
(☆☆☆★★)



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