prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

2007年04月21日 | 映画
東京タワーっていうのは東京の象徴みたいなくせに、東京人はあまり行かないところ。逆にどこか田舎くさいのが、ボクのなくした故郷につながっているみたい。「大いなる田舎」としての東京の象徴というか。

オカンの闘病から死ぬまでの描写が意外なくらいリアル。あと普通死んだらそこでぽんと場面が飛びそうなのを、通夜の場面にひっぱるのが新鮮。仕事はそういう事情と関係ないものなあ。ボクがあそこで仕事を投げたらシラけただろう。
「泣かせ」の演出はやっていないが(事実、私は泣かなかった)、泣く人は泣きますね。
怠け放題怠けていたボクのところに仕事が来るのが、やや調子見えたりする。事実原作者は成功したのだから、と納得するしかない。

田舎町のセットの質感がしっかりしている。テレビドラマだとここまでいかない。なんでもないようだけれど、ずいぶん金かかっただろう。タイトルに出資した会社の名がずらっとやたらたくさん並んだが、「一口乗せろ」ってとこですか。

温泉旅館に大勢人が入っているのが、昭和40年代の感じ。今では建物は変わらなくても(古ぼけても)、ああいう光景は見られない。

ちょい役で有名人が出てくる、というのはこの映画の性格にあまりそぐわない感じ。

現在のボクと子供時代のボクが同じ画面に出てくる技法は、「野いちご」の頃ならアート・フィルムでしか使われなかったもの。トランジション・ショットなんて言ったりしますが、もとは舞台の技法だろう。
(☆☆☆★★)