アルゼンチン、という国名と、「エレンディラ」のイレーネ・パパスばりの鈴木京香のど派手な老けメイクから、ラテンアメリカ文学調のホラ話かと思ったらそこまでハジけてはいなかった。
堀北真希の親族が住んでいる普通の日本の地方都市と地続きで妙にエキゾチックな館とがつながっているプロダクション・デザイン(池谷仙克)が優秀。
館の前に広がっている草原とも田んぼともつかない空間が効いている。洋風の室内にコタツがあるのもいい。
堀北がこねるパン生地とか、ババアが集める蜂蜜、コタツですするインスタントラーメンなど食べ物がよく写るけれど、役所広司が作る曼荼羅やイルカの形をした墓石ともどももうちょっとフェティシュに撮ってほしかった。
大きく見て「死」を乗り越える話なのだから、モノが生きていないと、なんか物足りない。
役者はそれぞれ実力からして水準。
(☆☆☆)