prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「天国と地獄」(テレビ版)

2007年09月09日 | 映画
「天国と地獄」テレビ版リメークを見る。
オリジナルでもサングラス、車のフロントグラス、大拘置所の面会室り仕切りのガラスなどさまざまな反射物を頻繁に入れていたれど、今回はCG合成を援用してさまざまな反射像を入れ込み。また光と影を強調した画作りをしている。

主人公の製靴会社の重役の名前が権藤吾で、犯人の名前が竹内次郎という具合に鏡像関係になっているのと対応しているのだろうし、頻繁にマルチ画面を多用しているのも同じ狙いだろう。

身代金を入れる鞄がオリジナルでは皮製だが、ここでは布製、というのは実は結構大きな違い。
「昔は靴屋は鞄も作らされたものです」というセリフがあるが、権藤は革製品を作っていた、ということはもしかしたら権藤は出身者ではないか、と思わせるように出来ているわけ。

嫉妬には自分が上昇しようとするジェラシー型と、人を引きずり下ろそうとするエンビー型というのがあるというが、権藤と竹内はそれぞれの代表で、一見すると上流と下流の対立みたいだけれど、地獄から天国に這い上がった男と、実際はけっこう恵まれているのに不満にまみれている男とのねじれた対立、というのがオリジナルなのだが、ここでは「格差社会」的な一元性が前面に出て、複雑なニュアンスは薄い。

犯人が携帯から脅迫電話をかけてくるのだが、携帯ってすごく足がつきやすいのだけどね。あとドラッグの入手法にせよ、今ではインターネット使えばいいわけで、何も直接接触する必要もない。
細かいところで時代のずれを感じる。


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