prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「幽閉者 テロリスト」

2008年06月11日 | 映画
昔のATG映画みたいに低予算で抽象的・観念的なセリフがえんえんと続く作り。ただし、今のデジタルカメラだと写りすぎるので、白黒フィルムみたいに抽象化が徹底できないのが困ったところ。舞台を映像で再構成したみたいでもある。
「国家権力」が日本もアメリカも何もごっちゃになった造形。生理的な苦痛とか不快感といったものは技術的(予算的)にムリなのか狙いなのか、あまり出ていない。

テルアビブ空港の乱射事件について、当時の劇画「I・餓男」で、主人公が似たような乱射事件を生中継するから出資しないかとハリウッドのプロデューサーに持ちかけるという今だったらまず通らない設定が出てくる。「オリオンの三ツ星になる」というのが、ロマンティズムをもって受け取られた向きもあったらしいね。今の目で見ると、「ぷっ」という感じだが。
一番「新しく」なったのは、一般人のテロに対する情報の受け取り方のバイアスではないかと思わせる。

大友良英のノイズィな音楽は監督・脚本の足立正生の盟友若松孝二の「13人連続暴行魔」の阿部薫のそれを思わせ強烈な印象。奇妙なことに、Amazonで検索してもこのサウンドトラックCDは紹介されていても、DVDは出てこない。
(☆☆★★)


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