prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウォンテッド」

2009年04月07日 | 映画
ウォンテッド [Blu-ray]

UPJ/ジェネオン エンタテインメント

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主人公が動体視力を鍛えるのに、機を織る機械で横糸を通す抒(ひ)がすごい勢いで行き来するのを見てすばやく手をつかむ、というあたり、なんだか中島敦の「名人伝」で描かれた中国の弓の名人が瞬きをしない修行で機織機にもぐりこんで目の前を機械が行き来するのを瞬きしないで睨み付けた、というくだりを思わせる荒唐無稽テイスト。

全編そんな調子で、弾丸がカーブしたり、射殺された瞬間から時間を逆戻りして弾丸の軌跡をたどり発射した人間まで案内するといった画面の発想の大胆さを楽しむ。音響効果も絶好調。

イケてない生活にうんざりしているサラリーマンが突然「選ばれた者」だったことがわかり、美女に鍛えられてみるみる特殊能力を発揮するというオタクの妄想みたいな話だけれど、「マトリックス」みたいに変な理屈をつけないのは助かる。
イルナミティなんて出てくるもので、ユダヤ陰謀論につきあわされるのではなかろうなと恐れをなしたけれど、幸いただの歴史ある暗殺集団というだけの設定にとどまって、あまり深入りしないのはいい。

もっぱらアンジェリーナ・ジョリーで売っていたけれど、配役序列でいうと最初ではなく最後に出てくるいわゆる「トメ」で、主役はジェームズ・マカヴォイの方。ただし鍛えられてもあまりヒーロー然とはしていなくて、女王さまに仕えている感じ。
(☆☆☆★★)


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