通りの向こう側の女を覗く「裏窓」的趣向、「見知らぬ乗客」の交換殺人、あと人を操って人を殺させる「ダイヤルMを廻せ」、「逃走迷路」「めまい」の高所恐怖症、「サイコ」のシャワーヘッドの撮り方、ブロンドとブルネットの女の使い分け、などなど「サスペリア」の頃「イタリアのヒッチコック」と呼ばれた (?)ダリオ・アルジェントがヒッチコック的趣向を使いまくっているのだが、あまりに映画青年的にミエミエ、というより自分で解説しているのと、エロ味も露骨なので、パロディみたいに見えてくる。
血みどろシーンはそう多くないが、アングルやつなぎは相変わらず、変なところで凝りくるっている。
主人公の映画オタク青年は、ガールフレンドにやたらわがままな態度はとるわ、覗きはするわ、家宅不法侵入して追っかけられて足を折るわ、肝腎のクライマックスで何の役にもたたないわと、かなりのサイテー男。こういう奴、主人公にするかと思うくらい。
ラスト、何のつもりかスターリンの肖像なんて壁に貼っているあたり、作り手も悪意を持っているのだろうか。
(☆☆★★★)