prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ソウル・サーファー」

2012年07月09日 | 映画
見事なサーフィンの撮影と、「フォレスト・ガンプ」以来の片腕をなくした姿のデジタル処理をほどこしたカットを全編にわたって自由自在に組み合わせて繰り広げるのだから恐れ入る。それで製作費は1800万ドルというから今のアメリカ映画としてはむしろ少ないほうだ。

ストーリーとシナリオのクレジットが重なる分を含めて11人にのぼる。実話の映画化といっても、これほど大勢のライターが参加しているのはディズニー作品そこのけだ。
しかし見ていて話を作りましたという印象は薄い。サーファーとして将来を宿望されていた少女が鮫に襲われて片腕を失うが、家族や友人の支えを得て復活を果たすというシンプルなストーリーラインは決して外れない。

夜の海にサーフィンに出ているヒロインたちを海の底から見上げて捉えたカットなど当然「ジョーズ」を引用するかたちでのちの惨劇を予感させる。

考えてみると、鮫への恐怖を克服できるのかというモチーフが出てきても不思議ないのだが、うまくサーファーとして復活し波=海を克服できるのかという大きなモチーフにずらしている。しかも、ただ障碍を克服してサーファーとして復活するだけにとどまらないのが素晴らしい。

2004年の12月26日のタイのプーケット島の大津波の大惨事をとりこんでいるのがロウ・ポイントからの回復に取り入れているのが大胆。当然3.11の大津波も連想させてどきりとする。
ヒロインが一度死にかけてから、一見して穏やかな海の彼方で波がせり上がってくるのを誰も感じ取れないうちからわかってしまう、というあたりのスピリチュアルな描き方は期せずしてイーストウッドの「ヒア・アフター」と通じることになる。
サーフィンをしている間のパイプラインを潜り抜ける映像を生死の間の世界に見立てていて、逆境を克服するストレートな感動作であるとともに、神の存在をあまり臭みなく取り込むことに成功している。

鮫に襲われたあと、止血したヒロインをまずトラックで運び、それからとんできた救急車に乗り換え、急報を受けた母親が走らせる車を追い抜き前後して病院に到着し、さらにすでに病院にいた手術を受ける予定だった父親が麻酔でふらふらしながら駆けつけるといった具合に、家族を巡る描写がダイナミックで立体的。なんでもなさそうで意外とできない構成力。

基本的にネガティヴな人物は出てこないが、一応の敵役は黒髪で、ヒロインと友人はブロンドというあたり、臆せずルーティンを踏んでいます。
(☆☆☆★★★)



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ソウル・サーファー - goo 映画

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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

7月8日(日)のつぶやき

2012年07月09日 | 映画
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「幸せへのキセキ」 goo.gl/vfHbm

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