隠忍自重の末に本懐を遂げるという意味で「忠臣蔵」本体を繰り返しており、見事打ち入って忠臣の鑑と誉めそやされたごく一部の藩士以外の、肩身狭く生きてきた大勢の旧藩士たちが名誉を回復すべく輿入れの行列に次々と集まってくるあたりは名調子。
討ち入りして爺さんの首をとるより、女の子を育て上げて嫁に出す方が偉いのではないかなあと思わせる。それだけに最後腹を切るのが納得しにくい。
冒頭から人形浄瑠璃の「曽根崎心中」が引用される。「めぞん一刻」で一刻館を「死霊」の時計塔ばりにするとともに池の上に人形を出した脚色の田中陽造の趣味っぽい。ああいう「死」の匂いが物語の方向と必ずしも一致しているか、少し疑問。
(☆☆☆★)
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