出演者の名まえが全部役名に反映している(役者名がリース・ミシュラーだと役名がリース・ハウザーといった調子)あたり、一応虚実皮膜狙いではあるのだろうけれど、幽霊だか怪人だかに追いかけられているのにカメラ回している場合かい、とツッコミを入れたくなる場面が多々あり。必ずしも必要ないのにいささか無理やりPOV仕立てにしている感が強く、普通の客観的なカットとホームビデオの映像を混ぜるやり方で処理した方が自然だったろう。
ここではずうっとパパラッチばりにカメラを回しているライアンという性格の悪い男子がいて、あちこち撮ってまわってはマジメにやっている生徒たちをふざけた調子でからかい続けるのでいい加減不愉快になってくる。
こいつがうんとひどい殺され方をするのだろうと期待するし実際一応そうなるのだが、困るのはこいつがカメラを回しっぱなしなのでその顔が映るところが少なく憎まれ役としての存在感が十分こちらに打ち込まれず、また暗い場面が多いので死ぬ場面で誰だかよくわからなくなったりするので殺されてもどうもぱっとしない。
前半一番からかわれるオタクじみた生徒が、後半完全に消えてしまうののも物足りない。
原題はTHE GALLOWS(絞首台)。演劇公演で絞首刑に処せられる場面で本当に学生が死んでしまった、という事故が1993年に起きた高校で、20年以上経ってからまた同じ演目を上演するという相当乱暴な設定。しかもその故人を含む関係者一同の写真を廊下のガラスケースに飾っておくなんてことあるのか。親の因果が子に報い式の設定もあるが、相当強引。
劇中劇で主演する男子がいくら自分がヘタだと思っている(のかどうかよくわからない)にせよ、自分が主演する舞台装置を壊しに行くのに賛同するというのもおよそありえない話。
鍵が壊れたドアがなぜか開かなくなるとか、壊したはずの首つりロープがいつのまにか元に戻っているといった怖がらせ場は一応数多く取り揃えているし、音響効果が凝っているので退屈はしない。
(☆☆☆)
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