結局、暗殺者であるにも関わらず使命を達成するには非情になりきれず、またそのために上によって消されかけはしても消されずに朦朧と逃げていくわけで、ここまで単純な切った張ったの爽快感を排除するというのには驚いた。
通常でいう立ち回りの快感とかおもしろさというのはおよそ乏しいのだが、かといった退屈したり眠くなったりはそれほどしない。
画面作りがそれこそ部屋中に垂らされた布の揺れ方から、巨大な渓谷から湧き上がってくる靄に至るまでこだわった、ちょっと次元が違うレベルで徹底していて圧倒される。見方を変えると各画面の完成に腐心していて立ち回りの躍動感に乏しいとも言えるのだが。
唐代の建物が大陸ではほぼなくなっていて、日本の京都・奈良・兵庫でロケされたというのがちょっと誇らしい。茶道や禅も日本の方が残っていて事実上本家になっているものね。
スクリーン・サイズがスタンダードとビスタビジョンを行き来するという珍しい形式。どういう基準で使い分けているのか、一度見ただけでは判別が難しい。
(☆☆☆★)
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黒衣の刺客@ぴあ映画生活
映画『黒衣の刺客』 - シネマトゥデイ