銃を撃つまでにハードルがいくつもあるのを逆手にとって鈴木英雄というヒーローみたいだけれど割とありがちな名前で、苗字は鈴木という最も平凡な名前が語るようにごく平凡というかおよそ冴えない男がいよいよショットガンをぶっ放す瞬間まで入念に段取りを組んでいる。
原作はだいぶ前に初めの方を読んだだけなのでかなり忘れていて、かなり腑に落ちない描写が散見する。
どういうわけで英雄が正規の許可をとってまでショットガンを所持しているのか、頭を吹き飛ばせばゾンビ(ここではZQNとなっているが)は活動を停止するはずなのに頭がもう吹きとんでいるのに生前同様高跳びを繰り返しているゾンビがいるのはどういうわけか、なぜ「感染」しているのに完全にゾンビ化するのを免れているキャラクターがいるのか、推測はできないでもないけれどはっきり描いていない。あとは原作か続編でということだろうか。
原作読んで確認すべきところなのだろうけれど、ついに英雄がヒーローとして立つところで終わるのはきちっと映画としてのまとめた構成に成功しているので今すぐ確かめようという気にはならない。
英雄の空想が具体的なイメージとして一見現実のように描かれ、それを否定する恰好で現実がかぶさるように描かれる、というのはそれ自体はよくある空想家の描写のようで、それがしつこいくらい繰り返されるのが一つのクライマックスになっていて、実際に他人に抑圧されている以上に自分で自分を縛ってしまっている姿を端的に見せるあたりよくできているし、見ているこちらにもいささか思い当たるところがあるテーマ。
ただ代わりに避難所で実際に抑圧的な立場にいる連中の描写はどうも中途半端に不快で、だからついにショットガンをぶっぱなす瞬間にカタルシスはあるけれど、もっとあっていいはずだと欲を言いたくなる。
いざゾンビ退治が始まったらもう徹底的にぐちゃぐちゃになるまでやるのは良かった。
かなり韓国で撮られたそうでエンドタイトルを見るとそれは歴然。ロケーションの自由さ比べということになるのだろうか。
(☆☆☆★★)
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