その利息を稼ぐのに藩がどういうことをするのか(木を伐りまくって赤字にあてている、というセリフがある)、大量に銭を鋳造しているから今でいうインフレになってもいるわけで、そのあたりの経済政策、産業の振興の方はどうなっているのだろう、とは思う。
もっともそういう経済の話にするのはまず映画向けではないと判断したらしく、もっぱら殿様に貸すための金を宿場の者たちが自分には利息は戻ってこないのを承知の上で銭を拠出する、無私の行為の美しさの焦点を合わせていて、それで成功している。
プロローグの意味が後になるとどんどん変わってくるあたりの構成と話術の妙。
明るい場面だとカツラの継ぎ目が気になったりするが、暗い場面に出てくる山崎努のメイクは剃り上げた月代にまで老人斑が描かれている芸の細かいもの(それとも本当に剃ったのか? ちょっと考えにくい)。
宿場の道が坂になっていて途中で曲がっていたりするのがなんともいえずニュアンスがあっていい感じ。
松田龍平がぼやっとしていていつキレるかわからない感じをよく出した。
妻夫木聡がかなり振幅のある役をやっていたのが意外な驚き、他のキャストもそれぞれ良かった。
(☆☆☆★★)
>殿、利息でござる! 公式ホームページ
本ホームページ
殿、利息でござる!|映画情報のぴあ映画生活
映画『殿、利息でござる!』 - シネマトゥデイ