「ブラジル」で見せた圧倒的な奇想のイマジネーションが想像に関する議論のカッコに入ってしまったようで、画としても割と普通。
作者の思い入れの強い作品には見る方としても同調したいのだが、正直置いてけぼりをくった印象の方が強い。
「ドグラマグラ」ではないが、長い時間かけて完成できないで作者がいじくり回しているうちにおそろしくわけのわからないものになった感あり。
元のドン・キホーテ物語自体、ごく最初の方にある風車への突撃までは有名だが、実はその後がえんえんと続き、ドンとサンチョが作中世界で有名になってしまい、二人が有名であることを意識して振る舞うようになるという(読んでないので又聞き)。これ自体、話の二重底化でフィクションの上にフィクションを重ねていく構造のように思えて、案外そのまま映画化しても夢と想像とその否定と肯定に関する物語になったのではないか。