一家の人間関係がどうなっているのか、それほど複雑でもなさそうなのにキャスティングの年齢配分もあってかなり掴みずらい。
照明がさりげないけれど見事で、暗い場面がホラーだから当然多いのだが、背景が暗いながらはっきり見えて、懐中電灯代わりのスマホのライトの明るさとのバランスもとれている。
同じ東映の「犬神の悪霊(たたり)」みたいに犬と人間との交わりみたいなものを暗示してはいるのだが、中途半端。
考えてみると公衆電話の呼び出し音というのは聞いたことなかったけれど、本当にああいうのだろうか。
今では現役とはいえかなり古めかしいものになっているが、黒電話ほどムードはありませんね。
ワンカットの中で二つの時制がシームレスにつながる、かなりアートフィルム的な技法は今では珍しくないが、精練された使い方。
高嶋政伸が名家の家長の権威意識丸出しの役というのは意外だったが、考えてみるとこの一番の仇役がどうともしないのは物足りない。一番祟られるべきキャラクターではないか。
三吉彩花が見るともなく視界の隅で見えてしまう幽霊の表現はいかにもJホラーっぽく堂に入っているが、結局本筋とは関係ないというのはどんなものか。
呪われた映像はやはり古めかしくぼやけたフィルムが似合う。
製作委員会のメンバーに全日本プロレスが入っているのにあれまと思う。