第一次大戦でのイタリア軍とオーストリア軍の戦いをイタリア側から描くフランチェスコ⋅ロージ監督作品。
息が詰まるような塹壕の中の空気や、歩兵や騎兵で機関銃で武装した陣地に芸もなく何度も突撃しては出さなくていい損耗ばかり出している愚かしさ、などの描写はやりきれないと共に日本の二百三高地などでもお馴染みではあるのだが、そこから本格的に兵士たちの間に上層部に対する憤懣と不穏な空気が高まって、それに対して上層部が見せしめ的に処刑を行うなど、国同士の戦いであるより遥かに階級闘争に傾くところが、闘争的社会派映画人ロージの面目躍如。
視点とするとほぼ一番冷静な下士官に置かれているのだが、彼がスケープゴート的な役割を果たす羽目になりしかも被害者的であるより上に向かって一矢報いるためのそれとなる展開は、ロージ的でもあるだろうし、もとよりイタリアという国が統一国家になってからの歴史が浅い事情などをさまざまに思い起こさせる。
パスクァリーノ⋅デ⋅サンティスの撮影、ピエロ⋅ピッチョーニの音楽、ルジェロ⋅マストロヤンニの編集と、一流スタッフがその名声にふさわしい仕事をしている。