フランク・グリロがある朝目覚めるところから始まり何者かに襲われていささかマンガチックな強さを発揮してバタバタ倒すが、多勢に無勢でついに倒されたら時間がループしてまた目覚めるところに戻ってしまい、それがえんえん繰り返されるという、企画の立ち上げから関与しているグリロが「恋はデジャヴ」のアクション版とプレゼンしたというアクションコメディ。
何しろ似ているが少し違う場面が何十何百回と繰り返されるのだから、エンドタイトルを見るとEカメラ班までいる。すごい量のテイクを集めているのは間違いないだろう。
デジタルカメラが普及していなかったらこうも膨大な素材を用意するのは難しかったかもしれない。
めぐるましい割に見やすい。
スティーブ⋅ハルフィッシュ著「映像編集の技法」を読むと、とにかく膨大なテイクをどう整理するのかそれぞれの編集者が工夫をこらしているのがわかり、この場合はどうしたのだろうと思ったりした。
グリロのマッチョにビルドアップされた身体も凄い。
ゲームでリセットするのと共通する感覚で、いくらでもリセットできるからゲーム的世界観は安直で命を軽視しているなどと言われたりするのだが、ここでは何度も繰り返すうちに学んだことは持ち越せるのが肝要で、それまでに息子との関係を見直したり、どうしても倒せない観音と名乗る東洋人女戦士をどうやって打倒するかとか、 七転び八起きどころではないくらいの回数やり直しがきくのを生かした成長譚をあれこれ欲張って入れ込んでいる。世界の終わりまで体験するくらい。SFとしての理屈はわかったようでよくわからないが、あまり構わない感じ。
メル・ギブソンがすっかり悪相が板についた。
コロナで公開できなくなってHULUで配信されるのと前後したが、劇場でも見られるようになったのはまずはめでたい。