それまで観測されなかった彗星が突然比較的近くの宇宙空間に現れて地球に破片が降ってくるというのもずいぶん乱暴な話で、サスペンスを初めから放棄しているに近い。
隕石が降り注ぐスペクタクルはもちろんあるが、この手の災害ものでありがちなこれでもか式の見せ場とまではいかない。
ジェラルド・バトラーが若年性糖尿病の七歳の息子と一度浮気して裏切った妻との関係を修復する家族再生ドラマではあるけれど、通りいっぺんといった印象は否めない。
通してみるとノアの方舟のアナロジーみたいになっているのだが、選ばれて救われる人間と選ばれずに死ぬ人間との究極のコントラストがいつの間にか軽くなってしまう。
飛行機に乗りそびれた人間たちの車を飛行機から見下ろしたカットなど、ずいぶん非情なのだが、作り手の方が非情であることをどこまで認識していたのか曖昧な分、なおさら選民主義みたいな印象が強くなって、微妙にすっきりしない。
スコット・グレンがずいぶん老けて出てきた。