吉野源三郎の原作を読んだのはずいぶん前、宮崎駿がアニメ化すると伝えられたより前なのだが、いったいあれをどうアニメ化するのだろうと不思議でもあったが、ほぼ関係ありませんでした。
原作が発表されたのは昭和12年、日中戦争が始まり軍国主義が本格的に台頭してきたのに対して教養主義・自由主義の立場を守るものだったのだが、ここでは「風立ちぬ」の世界に準じてもう少し後の時代に設定され軍国主義色に染まっている。
父親が軍需工場長で大勢の使用人(全部女)だったり、当たり前のように戦前のいい暮らしをしている様子が描かれている。
初めのうちリアリズムなのだが、途中からシュールレアリスムが入ってきて、時代設定から国籍から自在に混淆交錯するようになる。
広告でネタバレを一切しないようにしていたが、見通してみるといつもの宮崎駿作品という印象は強い。