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1972年製作。日活ロマンポルノ二年目、田中登監督デビュー二作目。
今では使えなくなったトルコ風呂という言葉が堂々と使われている(ソープランドに改名されたのは1984年のこと)。
三人のトルコ嬢が友人の玉の輿婚の後で、いい男いないかしらとソーセージにナポリタンというダイエットとはおよそ無縁のメニューをぱくつくところから昭和の匂いがむんむんする。
新宿の街の撮り方もそれほど街の区画は変わっていないのだが、それだけに店の変わりようがありありとわかる。
ラストシーンが今はみずほ銀行に合併させられてしまった富士銀行の前ですからね。
朝の9時になってシャッターが一斉に開く光景が街を生き物のように捉えていて強い印象を残す。
年かさの男が若い男に女の面倒をみるのがホモセクシュアルとホモソーシャルが混ざっているみたいな感じ。
若い男が教会音楽がかかってないと役に立たなくなるという設定がフシギだが感覚的に面白い。
客の銀行員にテクニックを褒められたトルコ嬢が「練習よ、銀行員のソロバンと同じ」というのがなんだか可笑しい。
調べてみると、電卓の価格が急激に下がって普及したのが1971年から72年にかけてなのだ。
この銀行員が人の金をガメて逃げるというのも、らしい話。
人が落ちるのをビニール傘が落ちるカットで表すなど、死語を使うとアングラ的で、田中登らしい美学的な演出とも言える。