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刑務所に入っている鶴田浩二が愛人の安田道代をはさんで親分と三角関係になるのでどうなることかと思わせるが、出所前に親分が暗殺されてしまうので、三角関係の方は問題にならない。
しかし組の存続のために親分の女=姐さんとして押し立てなければならず、その組の秩序を守らなくてはいけないことがドラマの枷として機能することになる。
「極道の妻たち」だと姐さんとして生きるのと愛する男のために生きるのとが一致していたけれど、この時代では分裂したままにならざるをえなかったみたい。
組=任侠道を守ること自体が人としての自然な感情を邪魔してしまうわけで、クライマックスで鶴田が「この世界から出て行くんだ」と言うとともに杯が砕け、神棚に向かってものをぶつけるという形で任侠映画の基礎のルールを壊してしまう。
全編撮影も美術も非常に様式的に端正で、直江津の海岸の冬景色など非常に魅力的。それがクライマックスに至って鈴木清順か中川信夫の「東海道四谷怪談」かという血の海のイメージカットになる様式を突き崩す破調が鮮やか。あまりに芸術的になりすぎてないかという気もするが。
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博奕打ち いのち札@ぴあ映画生活